「このクルマ、昔はもっと安かったよね?」
最近、そんな風に感じることはありませんか。
かつては200~300万円で手が届いたスポーツカーや、ファミリー向けだったはずのミニバン・SUV、“庶民の足”だったコンパクトカーや軽自動車まで、気づけば総額400万円、500万円という見積もりも珍しくなくなりました。
たとえば、昨年24年ぶりに登場したホンダ・プレリュード。かつては「デートカー」と呼ばれ、若者に人気の車種でした。私も若い頃に憧れてたクルマですし、実際友人が3代目のプレシュードを購入して、ドライブやスキーに大活躍していたクルマでした。
かつての人気車種(例:プレリュード)は200万円台前半で買えた時代もありましたが、新型では600万円を超える予想価格が出るなど、価格の隔たりが象徴的な例になっています。
このプレリュードのように、かつては現実的な価格で買えたクルマが、今や中古でも驚くような値段で取引されています。
なぜ、クルマはここまで高くなったのか。
そしてこの状況の中で、私たちはどんな選択をすべきなのか。
本記事では、ジャンル別に新旧モデルを比較することで、見えてくるものがありました。この「クルマの価格が高すぎる問題」を冷静に整理していきますので、最後までお付き合いください。
クルマの価格はどれくらい上がったのか?

「クルマは高くなった」そんな印象は私だけでなく、皆さんお持ちだと思います。今では同じジャンルでも新車価格が何倍にもなったケースが珍しくありません。ここからは、実際にクルマのジャンル別にどれほど価格が上がったのかを見ていきます。
①スポーツカー代表:トヨタ 86

| 年代(登場年月) | 最廉価グレード(価格) | 最上位グレード(価格) |
| 86 初代(2012.4) | RC(6MT)(1,990,000円) | GTリミテッド(6AT)(3,050,000円) |
| マイナーチェンジ(2016.8) | G(6MT)(2,623,320円) | GTリミテッド(6AT)(3,250,800円) |
| GR86初代(2021.10) | RC(6MT)(2,799,000円) | RZ(6AT)(3,512,000円) |
| GR86現行(2025.8) | RC(6MT)(2,935,000円) | RZ(6AT)(3,616,000円) |
トヨタの86は、初代の出始めは大半のグレードが200万円台の値付けでした。エンジンはすべてのグレード共通で2リッターNAですのでグレード毎の価格の差は装備の差、MTかATの差、でしたね。
2016年のマイナーチェンジで、最高出力を5kW(7PS)、最大トルクを7N・m(0.7kgf・m)それぞれ向上し、ボディ剛性強化やサスペンションなどの足周りの改良を行い、内外装に走り系の装備を充実させ、価格が上がっています。
そして、2021年にGR86となり排気量を2.4 LにアップしたFA24型エンジンに換装、トヨタ車初採用となるステレオカメラ方式の運転支援システム「アイサイト」を搭載。プリクラッシュセーフティ、後退時ブレーキアシスト、AT誤発進抑制制御/AT誤後退抑制制御、全車速追従機能付クルーズコントロール、警報&お知らせ機能といった安全装備の充実がなされています。
86のようなスポーツカーは、世代が変わるごとに動力性能をUPさせていきます。それだけでなく、近年はスポーツカーにおいても「アイサイト」のような安全装備の採用が進んでいて、価格UPに繋がっているんですね。
GR86も、最廉価グレードで300万円、さすがに気軽に買えるスポーツカーとは言えない価格帯になっています。
②スポーツハッチ代表:スズキ スイフトスポーツ

| 年代(登場年月) | グレード(価格) | 上級グレード(価格) |
| 初代(2005.9) | ベースグレード 5MT 4AT (1,617,000円) | |
| 2代目(2011.11) | ベースグレード 6MT(1,680,000円) | ベースグレード CVT(1,748,250円) |
| 3代目(ZC13S系) | ベースグレード 6MT(1,836,000円) ベースグレード 6AT(1,906,200円) | セーフティーパッケージ装着車 6MT (1,922,400円) セーフティーパッケージ装着車 6AT (1,992,600円) |
| 3代目ファイナルエディション | 6MT(2,329,800円) | 6AT(2,401,300円) |
スイフトスポーツの価格高騰事情を詳しく比較した記事はこちら。装備や安全性の変化と価格の関係が分かります。
スイフトスポーツの初代が出たときは、160万円台と比較的安価なスポーツハッチでしたが、2代目、3代目と代替わりしていく中で徐々に価格が上がっていきます。
2代目は、1.6リッターNAエンジンは変わりませんが、出力を11ps/1.2kg上げています。更にAT車は初代の4ATからCVTに変更、更に各種走行性能UPのための装備の充実、そしてベース車両の大型化に合わせ、スイフトスポーツでも全長が125mm長くなったのですが、車重はAT車で変わらず、MT車は-10kgと軽量化を果たしています。
3代目で、1.6リッターNAエンジンから、1.4リッター直噴ターボエンジンに変更となりました。ボディはトレッドを30 mm、前後フェンダーを左右各20 mm拡大したことで全幅が1,735 mmとなり、スイフトシリーズでは初めて3ナンバー登録となったのですが、車重は1 tを切る軽量化を達成しています。
また3代目は「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめとする装備をひとまとめにした「セーフティパッケージ」をメーカーオプションとして設定し車線逸脱抑制機能等、安全装備の充実を図っています。
トヨタ86と同様に、動力性能UPと安全装備の充実がそのまま価格UPに繋がっているようですね。
ただ、スイフトスポーツも次期車は300万円という声も聞こえています。こちらもさすがに気軽に買えるスポーツハッチとは言えない価格帯になっています。
③SUV代表:トヨタ RAV4

| 年代(登場年月) | 最廉価グレード(価格) | 最上位グレード(価格) |
| 3代目(2005.11) | X(FF CVT)(1,974,000円) | スポーツ(フルタイム4WD CVT) (2,478,000円) |
| 3代目(最終) (2015.4) | スタイル(FF CVT)(2,211,429円) | スタイルSパッケージ(フルタイム4WD CVT) (2,581,714円) |
| ※5代目(2019.4) | X(FF CVT)(2,608,200円) | ハイブリッドG(フルタイム4WD CVT) (3,250,800円) |
| PHV(2020.6) | G(フルタイム4WD CVT) (4,690,000円) | ブラックトーン(フルタイム4WD CVT) (5,390,000円) |
| 6代目(2025.12) | アドベンチャー(フル4WD CVT) (4,500,000円) | Z(フルタイム4WD CVT) (4,900,,000円) |
SUVの代表として、トヨタのRAV4を調べてみました。RAV4の初代は1994年の登場で、さすがに比較対象とするには時代が離れているので2005年登場の3代目から比較していきます。
ちなみに※マークを付けたのは、3代目の後4代目が2013年に北米市場と欧州市場に登場しているのですが、日本には同じプラットフォームの3代目ハリアーが導入されていたため、RAV4としての4代目は導入されなかったことによるものです。
SUV系のクルマの価格差を見ると、FFとフルタイム4WDとで差がありますね。その4WDシステムも、5代目でトルクベクタリング等の機能を追加し、進化させています。また、車体の大型化やパワーユニットでバイブリッドシステムの導入、そしてこちらも安全装備の充実で大幅な価格UPがなされています。
そして2020年に登場した5代目のPHV車がかなり高額になっているのが分かりますよね。6代目は12月に登場したばかりなので、今後グレードの追加やPHV車の導入等で、更に高額な設定になっていくでしょう。
SUVについては、スポーツカーとちょっと違って、車体の大型化、ハイブリッドやPHV等の電動化による価格の上昇が著しくなっているようです。もちろん安全運転支援のシステムも充実してきていますので、これからも価格UPは免れないでしょう。
PHVも含め、これだけの大幅な価格UPはすでに”高級車”の価格帯です。気軽に買えるクルマではなくなっています。
④コンパクト代表:トヨタ ヤリス

| 年代(登場年月) | 最廉価グレード(価格) | 最上位グレード(価格) |
| 初登場時(2020.2) | X Bパッケージ(1L CVT) (1,395,000円) | ハイブリッドZ(フルタイム4WD CVT) (2,493,000円) |
| 一部改良(2022.8) | X(FF CVT) (1,470,000円) | ハイブリッドZ(フルタイム4WD CVT) (2,548,000円) |
| 一部改良(2024.1) | X(FF CVT) (1,501,000円) | ハイブリッドZ(フルタイム4WD CVT) (2,694,000円) |
| 現行(2025.2) | X(FF CVT) (1,657,700円) | ハイブリッドZ ウルバーノ(フル4WD CVT) (2,887,500円) |
まだ現行型のヤリスはフルモデルチェンジを行っていませんが、3回ほどの改良のたびに少しずつ価格UPしています。特に現行型となる2025年2月の改良は、内外装の装備の充実が図られ最廉価版でも15万円、ハイブリッドの廉価版でも20万のUPとなっています。
そして「ウルバーノ」という特別仕様車も販売され、トヨタのエントリーモデルながら300万円弱の価格にまでなっています。私の友人もこの「ウルバーノ」にオプションを付けて、400万円の見積もりになったものを購入しているのです。
今や、ヤリスのようなエントリーモデルでも200万円~300万円の価格帯になっていて、気軽に買えるとは言えない価格帯になっています。
⑤軽自動車代表:ホンダ N-BOX

| 年代(登場年月) | N-BOX通常モデル・価格帯 | カスタム系・価格帯 | ジョイ系・価格帯 |
| 初代(2011.12) | 1,240,000円~1,460,000円 | 1,440,000円~1,780,000円 | |
| 初代 最終(2016.8) | 1,198,000円~1,950,000円 | 1,480,000円~1,939,400円 | |
| 2代目(2017.9) | 1,315,440円~1,880,280円 | 1,596,240円~2,080,080円 | |
| 2代目最終(2023.4) | 1,468,500円~2,086,000円 | 1,824,900円~2,288,000円 | |
| 3代目(2023.10) | 1,648,900円~1,965,000円 | 1,849,100円~2,362,800円 | |
| ジョイ系登場(2024.9) | 1,844,700円~2,260,500円 | ||
| 3代目現在 | 1,739,100円~2,036,000円 | 2,063,600円~2,330,900円 | 1,899,700円~2,324,300円 |
軽自動車で今、一番売れているホンダのN-BOX。やはりフルモデルチェンジの度に価格UPが見られます。もちろん内外装の充実や安全運転支援機能の採用、衝突安全の性能向上等、しっかり改善されているのですが、廉価グレードでも200万円に迫る価格となっていますので、軽自動車でさえも新車価格は高くなってしまったと言わざるをえないと思います。
また、現在の3代目では通常モデルのN-BOXにはターボモデルが存在せず、カスタムやジョイを狙わないとターボモデルを購入することはできません。そのターボモデルもまた価格が上がり、210万円を超える価格になっています。
軽自動車でも200万円という価格帯。簡単に手が出せる価格帯ではなくなっています。
このように、スポーツカー、SUV、コンパクトカー、軽自動車といったジャンルのクルマすべての価格が確実に上昇しています。
ここまで見てきた価格UPは、偶然ではありません。価格UPの理由は、動力性能UPや時代の要請によるパワーユニットの電動化、車体の大型化、安全運転支援機能の充実、内外装の装備の充実等様々ありますが、これからもこの流れは変わらないでしょう。
更に自動車価格が高騰している背景には、原材料コストの上昇や部品価格の高騰、環境・安全規制への対応など複数要因が重なっています。実際、半導体不足や部品コストの上昇は価格に直接影響していると指摘されています。
メーカーは車種のラインアップの中で、高く豪華になった車種はそのままに、その車種よりも下位に新たな車種を追加して、既存のユーザーを逃がさない取り組みや、新たなユーザーの獲得を行っているんですよね。
たとえば、RAV4の下にカローラクロスやヤリスクロスがあり、アクアの下にヤリスを作り、ヤリスの下にスターレットを出すかもしれない、という噂があるように。
こうやって、世代更新の度に車体を大きくしたり、豪華にして、その車種自体の価格がUPしても、下位に車種を追加できれば、既存の車種は大手を振って大型化、高級化、個性化できる。メーカーは上手く車種展開できるのですよね。
それでも人はクルマを買う。購入の選択肢は4つしかない

「今乗ってるクルマがモデルチェンジした」「そろそろ故障が多くなってきた」「ランニングコストがかさむようになってきた」「クルマの用途が変わってきた」
クルマを買い換える理由は様々ありますが、いずれにしても数年に一度はクルマを買い換えたくなるし、買い換える必要性も出てきます。どんどんクルマの価格が高騰している現状、我々ユーザーはどう対処すれば良いのでしょうか?
①割り切ってグレードを下げる
今は、どの車種を見てもほぼすべての車種で複数グレードを展開しています。たとえばある車種に乗ってて、モデルチェンジしたから同一車種の新車を買いたい、というときに「今度の新車は高くなったから、今までのグレードでは買えない」ってこともあるかと思います。
そんなときは、グレードを落として、同一車種の新車を狙うのも方法です。「クルマ自体に魅力があるから、グレードを落としてでもこの車種が欲しい」ってユーザーであれば、そうやって購入することも一つの手です。
ただし、グレードによっては今まで着いていた装備が省かれていたり、上位グレードと比較するとエンジンや内外装に差があって、ユーザーにとって魅力に写らなくなることもあるので、カタログをよく確認したり、実車を見比べて考える必要があるでしょう。
②下位の車種に乗り換える
「今までRAV4に乗ってたけど、モデルチェンジ後のRAV4は高いから、カローラクロスに乗り換えよう」「ホンダのステップワゴンに乗ってたけど、高いし、かなり大きくなっちゃったから、フリードに乗り換えよう」といったように、下位の車種や、よりコンパクトな車種に乗り換えるのも一つの手ですよね。
「この車種じゃなきゃイヤだ」ってことでなければ、意外と車種チェンジは吉と出ることもありますし、輸入車のように下位の車種でもニューモデルはモデルチェンジ前の上位モデルと同様の性能や装備を持っていたりしますので、少し広く車種を見ていくことも必要なことかもしれませんね。
③中古車・認定中古車を選ぶ
実はこの方法が一番現実的かもしれません。上手く探せば現行モデルも狙えますし、何より前オーナーがある程度のオプションを付けていたクルマが市場に並んでいますので、わざわざオプション代まで考えなくても、市場の中から必要とするオプションが付いたクルマを選べば良いのです。
実は輸入車こそ、認定中古車を狙うのが良いと私は考えています。輸入車はオプション代が高いですし、セットオプションで数十万円なんて値が付くこともあります。オプションの有無は中古車価格に多少加味されることもありますが、オプション代が丸々価格に転嫁されることはないので、お得なのです。
ただし、あくまで中古車ですから”使用感”はありますし、しっかり選ばないと不具合を持ったクルマを選んでしまうこともあります。クルマをしっかり見極めるために、広く情報収集し、他府県のクルマでも試乗に行ってみる等、行動力も必要になるでしょう。
④クルマのサブスクやカーリースを利用する
「新車に乗りたい、でも今の新車は高いし、頭金もそれほど用意できない」ってことなら、サブスクやカーリースを利用するのも考え方としてはアリでしょう。
頭金や登録諸費用(税金や手数料)を最初にまとめて払う必要はなく。まとまった貯金がなくても、月々の支払額だけで乗り始められるし、サブスクなら自動車税、車検代、自賠責保険料、任意保険料、車検基本料や消耗品交換などがすべて月額料金に含まれているプランもありますので、急な出費に悩まされることがなく、月々の予算が立てやすいのがメリットです。
反対にデメリットとして、今現在、任意保険の等級が高い(割引率が高い)ユーザーがサブスクに乗り換えると、その等級を維持・更新することができない場合もあるのでサブスクを使いたい場合は、事前に「中断証明書」を取っておくなどの手間がかかります。
また、契約満了時にクルマを返却するものが大部分ですので、長く乗り続けて、将来的に自分の資産にしたい人には向かず、月間の走行距離制限があって、これを超えると返却時に超過料金が発生したり、車内での喫煙やペットの同乗、電子タバコの使用も原則禁止となっているサブスクもありますので、こういった用途があるユーザーには向きません。
もちろん、借り物のクルマですから、純正の状態を維持する必要があるため、パーツを付け替えたり自分好みにいじったりすることはできません。
クルマのサブスクやリースについては、次回詳細に記事にしていきますが、こういったメリット・デメリットがあることを考えて利用する必要があるでしょう。
今日の記事のまとめ:クルマ好きほど今は悩ましい時代

ここまで、今のクルマが高くなったことの実態と理由、それを踏まえたうえでどうクルマを手に入れるか?についてお話ししてきました。
価格上昇の要因として
・動力性能UP、パワーユニットのハイブリッド化
・安全装備・運転支援技術の標準化
・原材料・物流コストの上昇
・円安による部品コスト増
等が挙げられますが、これは今後も続いていくことは間違いありません。今後更に電動化が進んでいけば、今までのエンジン車からの切り替えでメーカーも開発費がかかり、開発費を回収するために価格を大幅に上げていくことが考えられます。
クルマ好きなユーザーの皆さんにとっては、クルマは欲しいけど益々手が出ない、という悩ましい時代になってきたのだと思います。そんな時代の中でクルマを手に入れる手段として
①割り切ってグレードを下げる
②下位の車種に乗り換える
③中古車・認定中古車を選ぶ
④クルマのサブスク・カーリースを利用する
こんな方法を今日の記事では提案しました。
幸いにも、今年からガソリンの暫定税率が廃止になって、幾分かガソリン代が安くなりました。これらの手段を使って、なんとか希望のクルマを手にしていくことを考えていきたいですね。


