ホンダ プレリュード
ホンダがかつて製造・販売していた車種で、1980年代「デートカー」として一世を風靡した車で、1978年に登場し、5代目モデルが2001年に生産終了するまで、約23年間にわたって販売されました。
かつてのプレリュードは、FF2ドアスペシャリティークーペとして、決してガチガチのスポーツカーではないのですが、3代目からは前後の足回りにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したり、量産乗用車では世界初となる、機械式4WSが搭載され、走りの拘りが強いモデルでした。
そのプレリュードが、同じネーミングで復活します。果たしてどのような内容で復活してくるのか?今のホンダ社がプレリュードという車をどう考えているのか?興味は尽きませんね。
本記事では、その新型プレリュードがどんなスペックで、どの程度の価格で、いつ発売開始されるのか?どんな走りを実現できそうなのか?そんな新型プレリュードは「買い!」なのか?について、今少しでも新型プレリュードに興味がある方に向けてお話していきます。
新型プレリュードはどのくらいの大きさになるのか?
まずは、新型プレリュードのボディサイズを見てみましょう。
・ボディサイズ
全長約4,400mm~4,500mm 全幅約1,820mm~1,850mm 全高約1,400mm
ホイールベース約2,650mm~2,700mm
となっています。現在の基準で造る2ドアのスペシャリティークーペの外寸としては標準的なのではないでしょうか。
では同じ2ドアクーペ車と外寸を比較してイメージしてみましょう。
車種 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | ホイールベース(mm) |
ホンダ 新プレリュード | 4,400~4,500 | 1,820~1,850 | 1,400 | 2,650~2,700 |
トヨタ GR86 | 4,265 | 1,775 | 1,310 | 2,575 |
日産 フェアレディZ | 4,380 | 1,845 | 1,315 | 2,550 |
プジョー RCZ | 4,290 | 1,845 | 1,360 | 2,610 |
ホンダ シビックTYPE R | 4,595 | 1,890 | 1,405 | 2,735 |
トヨタGR86と日産フェアレディZは、新型プレリュードと同じ2ドアクーペになりますが、駆動方式はFRで、しかも乗車定員も2名(2シーター)の車になります。
プジョーRCZは、2ドアクーペであり、駆動方式も同じFFであり、乗車定員も4名と、最近の車の中では新型プレリュードに一番近いコンセプトを持つものとしてピックアップしています。
こう見ると、新型プレリュードは、2ドアクーペとしては全長・ホイールベースともに長いですね。参考までに4ドア車のシビックtypeRのボディサイズを出していますが、新型プレリュードは全長・ホイールベース・全高ともにシビックtypeRに近いくらいの大きさになっています。
これは、2ドアクーペでありながら、室内空間を極力稼ぎ、走っては直進安定性に寄与すると思います。ただし、新型プレリュードの後部座席については、スタイルを見るとちょっと厳しいのかもしれません。
ちなみに
プジョーRCZは4人乗りですが、後部座席の天井部分(赤丸で囲ったところ)は、かなり傾斜しているので、後部座席の頭上空間はかなり狭いものでした。
新型プレリュードは、全高がRCZよりも高いので、頭上空間は少しだけマシなのかもしれませんが、こちらも後部ルーフ部分の傾斜がキツいので、頭上空間は厳しいと思われます。後部座席に乗るのは子どもか緊急の場合に限られるのかもしれませんね。
新型プレリュードのパワートレイン・ミッション・足回りは?
新型プレリュードのパワートレイン・ミッション・足回りを見ていきましょう。
・パワートレイン、トランスミッション
2リッターの直噴4気筒ユニットで、これに2つのモーターを組み合わせたホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV」の次世代型のようです。エンジンの最高出力は約155ps、最大トルク19.0kgm、モーターの最高出力は約210psと予想されています。
「e:HEV」とは、ホンダの独自開発ハイブリッドシステムです。一般的なハイブリッド車と異なり、発電用と駆動用の2つのモーターを持ち、基本的にはエンジンの力で発電用モーターを回し、その電気で駆動用モーターを動かしています。
発進時や低速走行時にはほぼモーターのみ、高速道路などの一定速度の走行時にはエンジンが主役になります。これにより、都市部の渋滞時などでは静かでスムーズな走行が可能となり、高速ではエンジンの効率を最大限活用できる仕組みとなっています。
トランスミッションは、エンジンとモーターを制御しレスポンス性を高める技術として新開発される「Honda S+ Shift」です。運転状況や走行環境に応じた変速(アップシフト、ダウンシフト)します。またシフトホールドが作動する状態では、運転状態に合わせた最適なエンジン回転数を維持することで、再加速するときのエンジン発電電力を最大限駆動力へ変えることができるものです。
これにより、アクセルを踏んだ際のリニアな反応が期待でき、ドライバー操作と直結して性能を発揮してくれるようです。新型プレリュードは、ガチガチのスポーツカーとして考えるのではなく、長距離もワインディングも市街地も楽しめる万能型のスポーツカーと考えれば良いのではないでしょうか。
・足回り
シビックTYPE Rを踏襲するらしいので、前輪はマクファーソンストラット、後輪はマルチリンク、になるでしょう。
前輪のサスペンションは、シビックTYPE R同様「デュアルアクシスストラットサスペンション」という特殊なサスペンションを採用するので楽しみですね。
「デュアルアクシスストラットサスペンション」とは
幅広タイヤを装着するストラット・サスペンションのFF車の場合、エンジントルクの入力点であるホイールセンターと転舵軸の距離(センターオフセット量)が長いため、転舵軸を中心に、急激なトルクによって、タイヤが向きを変えようとする力(トルクステア)が発生してしまいます。その結果、急発進時などでハンドルが取られてしまいます。従来のストラット・サスペンションでは構造上センターオフセット量は縮めにくく、長年の課題でもありました。
そこでHondaは、ダンパーフォークを追加することで、それまで一体で転舵させていたナックルとダンパーを独立して動作できるようにしました。これにより転舵軸の設定自由度は大幅に向上し、転舵軸をホイールセンターにより近づけることで、トルクステアの原因のひとつだったセンターオフセット量を大幅に短縮することができたのです。
以上、HONDAのホームページから抜粋させていただきました。
そういえば、ルノーもメガーヌR.S.とルーテシアR.S.にも同じ機構のサスペンションシステム(名称は「ダブルアクシス・ストラット式サスペンション(DASS)」と呼んでました)が採用されていました。私の友人がルーテシアR.S.を所有していて、私も何度か乗らせてもらったのですが、確かに前輪の動きが素晴らしく、FF車でもしっかり曲がっていく良いサスペンションでした。
このサスペンションが採用される新型プレリュードも、かなり良いフットワークが期待できますね。
新型プレリュードの価格は?販売はいつからか?
さて新型プレリュード、気になる価格帯はどのくらいになるでしょうか?
今、噂されている価格帯は600万円台とのこと。
ちなみに、シビックTYPE Rは4,997,300円、ですから、もうちょっと安い価格帯(500万円台後半)になることもあり得るのではないでしょうか。ただ、次世代型の「e:HEV」と「Honda S+ Shift」が採用されていますし、昨今の新車価格高騰や、トランプ関税の余波で新車販売価格に影響してくることも考えられます。シビックTYPE Rよりもかなり高価になるのは仕方ないところでしょう。
販売開始は、現在のところ2025年10月と見られています。予約開始はその前になるので、購入を予定されている方は、今から足繁く、幾つかのホンダディーラーに行かれ、営業さんから情報を聞き出しておくことをオススメします。
新型プレリュードの月産台数は少なくなるでしょう、ちょうど少し前に話題になったスズキのジムニー・ノマドと同様に、短期間で受注停止になることが予想されますので、まずは生産枠の確保に強いディーラーを見つけること、力を持っていそうな営業さんと親しくなっておくこと、が早期生産車をゲットできる秘訣なのだろうと思います。
たとえば、シビックTYPE Rを早期に多く生産枠を確保できたディーラーなどは話しを聞く価値あるのではないでしょうか。
新型プレリュードは買いか!?
新型プレリュードは買いなのか?
600万円台の車両価格を出してでも購入するメリットはあるのか?を考えてみました。
「ホンダ プレリュード」という名称とホンダの2ドアクーペの復活
かつてプレリュードに乗っていた、憧れていた、といった50歳代以上の人達にとっては、「プレリュード」という名称の復活だけで注目ですし魅力に感じるでしょうね。そしてここ最近SUVやミニバンがラインアップの主流になってしまったホンダ車の中で、久々にサラリーマンでもちょっと頑張れば購入できそうな、スポーツできる2ドアクーペが出てくるだけでも買い!であることは言えると思います。
「e:HEV」と「Honda S+ Shift」による新しい走りの味
2.0L e:HEVのハイブリッドシステムで、燃費性能を維持しながらエンジンとモーターで大出力を実現できること。その大出力のパワーユニットをHonda S+ Shiftのマニュアル感覚でリニアな変速レスポンスを駆使して走行できる。
これは楽しいでしょうね。マニュアルを運転すると分かりますが、ドライバーがアクセルを踏んだときに必要な加速ができるシフトを選択していると、とても気持ち良いものなのですが、それをHonda S+ Shiftが自動的に可能にしてくれるのですから、楽に楽しい運転ができる点は買い!な車であると言えます。そしてシビックTYPE R譲りの足回りが奢られているのですから、楽しくないわけはありません。
今のところライバル不在のジャンル
国産の2ドアクーペは今や稀少な存在です。現在国産で新車販売されている2ドアクーペは、トヨタで言えばGR86/スバルBRZやスープラ、そしてレクサスの一部の高級2ドアクーペくらい。日産はすでにGT-Rの受注を停止し残ったのはフェアレディZだけ。
その中で、新型プレリュードとバッティングする車種は無く、車格で言えばGR86/BRZとスープラの間に位置しているので、「GR86ではちょっとヤンチャなんだけど、スープラやフェアレディZだと2シーターだし、スポーツに振りすぎちゃってる」「オシャレでちょっとスポーツできる車が欲しい」って人にはまさに買い!な車でしょう。
憂慮すべき点
反対に、新型プレリュード登場について、憂慮すべき点を考えてみます。
やっぱり 価格が高め(500万〜600万円台予想)なことですね。新技術満載な新型プレリュードですが、物価高の日本で、600万円の費用を出して2ドアスポーツクーペを購入するのは、ちょっとハードルが高いですね。昔のプレリュードは若い人達も購入して乗っていましたが、今の若い人達にとって600万円台の新車購入はさすがに無理があります。プレリュードにドンピシャ世代の50歳代以上の人達にとっても購入者は限られるのではないでしょうか?
そして、前述したライバル不在のジャンルの車であることも逆に憂慮すべきだと思います。かつてプレリュードのライバルと言えば、日産のシルビアが挙げられました。双方、デートカーとして一世を風靡したのですが、それはお互いライバルとして存在したから、より売れていったのであり、単独であそこまでの存在になれたのか?は微妙なところです。
やはり、新型プレリュードにも”フォロワー”が欲しいところですね。今のところは小さな噂になっているのは、トヨタのセリカだけ、日産にシルビアの復活を期待したいところですが、さすがに今の日産の状況では、無理な話でしょう。フォロワーの存在が車の存在を大きくし、また改良にも力を入れてくるので、トヨタには期待したいところです。
また、リアシートの実用性が厳しいことも憂慮のポイントになります。当たり前ですが2ドアクーペなので、後部座席の快適性は高くありません。ファミリー用途にはまず不向きであり、実質2人で楽しむ車、となるでしょう。
結論:どんな人にオススメなのか?
やはり新型プレリュードの車体デザイン、そして「プレリュード」というブランド、新設計のハイブリッドシステムとシフト、シビックTYPE R譲りのサスペンションによる走りを楽しみたい人にはオススメできるでしょう。そして同時にハイブリッドによる燃費も重視する人であれば、なお刺さる車だと思います。
今のガソリン価格を考えると、燃費も気にしないといけませんからね。
ということで、今回は新型プレリュードについて書いてきました。もちろん私は、全面的にこの車は買い!だと思っています。ぜひ気になる方は早めに最寄りのディーラーで情報をゲットしてくださいね。