自分の愛車。経年で様々な部分が劣化するものですが、ヘッドライトの曇りや黄ばみも経年で出てきたりするものです。特に青空駐車場に停めている方だと、割と短期間に症状が出たりします。
私のゴルフ7、先日車検を通したのですが、車検の見積もりに行った際にディーラーのサービス担当さんから「これは、完全にヘッドライトにクラックが入っちゃってますので、除去しないとダメですねぇ」と言われちゃって、色々調べた末に結局ディーラーに除去をお願いすることになりました。
もちろん、ゴルフ7ですからある程度年数は経っています。ただ、自宅駐車場は屋根ありで直射日光もほとんど当たらないのですが、それでも劣化するのです。
今回の記事は、なぜヘッドライトの曇りを放置したらダメなのか?クラックが入ったら、それを落とすにはどうしたら良いのか?について解説する記事にします。
皆さんの愛車も「最近、ヘッドライトが曇ってきたなぁ」とか「黄ばんできたな」とか感じていらっしゃる方も多いと思いますので、参考にしていただき、もし該当する症状がありましたら、なるべく早く行動されることをオススメします。
ヘッドライトの曇りや黄ばみの原因は?放置はなぜダメなの?
上記の写真をご覧ください。これは私の車ではありませんが、ヘッドライトのカバー面に無数の白っぽい霜のようなものがくっついていますよね。これが所謂「クラック(ひび割れ)」というもので、曇って見えるようで状況はちょっと違うのです。
クラック(ひび割れ)は、なぜ起きるのか?
車のヘッドライトカバーは、ポリカーボネイトという素材で出来ていて、透明性が高く光の透過性に優れ、軽量で耐衝撃性が高く、加工性がしやすいことが特徴です。
ただし、紫外線や熱に弱く長期間日光にさらされると表面が酸化・分解していく欠点があるのです。
なので、車の出荷時にはヘッドライトカバーにコーティング処理を行い、耐候性を高めて出荷しているのですが、それでも経年でコーティング剤も劣化してクラック(ひび割れ)が出来やすくなってしまうのです。
これが研磨施工前の、私の車の右側ヘッドライトです。上記の白い車ほどではないですが、クラックによる曇りがカバー全体を覆っています。
こちらはヘッドライト左側です。右側ほど酷くはありませんが、クリアではありませんね。
実はこの写真を撮る前に、こちらを使って丹念に磨いてみたり
タイヤ関連の量販店さんに行って、ヘッドライトカバーのバフ磨きをしてもらったりしたのですが、それでもクラックを除去することができず、上記の写真の状態まで持っていくのが精一杯でした。
ヘッドライトカバーの黄ばみの原因はちょっと違う
ヘッドライトカバーの曇り(クラック)とは違って、段々黄ばんでいく症状もありますよね。こちらはクラックとはちょっと原因が違って、紫外線や熱、酸性雨などによって、表面の「ハードコート」が酸化・変色して黄ばんでいくのです。
「黄ばみ」と「クラック」の違いを簡単にまとめてみると
項目 | 黄ばみ | クラック |
---|---|---|
原因 | 紫外線・酸化 | 素材の膨張・収縮、経年劣化 |
見た目 | 黄色〜茶色の濁り | 蜘蛛の巣状の細かいヒビ |
触感 | 滑らか | ザラつきがある場合も |
対処法 | 研磨+コーティング | 研磨+再コーティングまたは交換 |
車検への影響 | 光量不足で不合格になることも | 光軸ズレや光量不足で不合格の可能性 |
黄ばみについては、軽度のものであればバフ磨きで落ちることもあるようですが、研磨や交換が必要になるケースもあるようです。
クラックや黄ばみが光量不足の原因となり、車検通過できなくなる
「まあ、曇りや黄ばみといった見た目だけ我慢できれば、このままでいいや」と思う方もおられるでしょうけど、実はこのクラックや黄ばみが原因で車検に通らなくなる可能性があるのです。
日本の車検においてヘッドライトに必要な光量は、ロービームで1灯あたり6,400カンデラ(cd)以上です。これは車両前方を照らす際に、専用のテスターで最も明るい部分の光度を測定して確認されます。
この6,400カンデラという基準は2024年から適用されており、ロービームでの測定が原則となっています。基準を下回った場合は車検に通過できません。
ヘッドライトの黄ばみが光量不足になる理由は、黄ばみがレンズの光の透過率を低下させ、照射効率を著しく悪化させるからであり、クラックが光量不足になる理由は、クラックにライトの光が当たると光が乱反射し、本来進むべき方向に光がしっかり行かなくなって、結果光量不足になるのです。
こんな感じですね。
フォルクスワーゲン車はクラックによる曇りが多いらしい
ディーラーのサービスさんのお話によると、フォルクスワーゲン車は本国で処理されるヘッドカバーのコーティング剤に難があるそうです。本国に溶剤の成分を聞いても、答えてくれないらしいのですが、ディーラーもこのクラックによる光量不足の車が車検で入庫するケースが多いことで、難儀しているようです。
もちろん、日本の気候との差がありますから、輸入車は不利な面もありますが、ちょっとは対策してもらいたいものです。
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クラックはどうやって除去するの?
ということで、ディーラーにクラックの除去をお願いすることになりました。
といってもディーラーのスタッフさんではなく、塗装の業者さんが来て作業してもらうとのことなので、見学させていただきました。
まずは、しっかり養生から。
よく動画サイトで「ヘッドライトのクラック除去」の動画を業者さんがワンサカ出していますが、結構皆さん養生が甘いんですよね。
こちらの写真のように、水分を含ませながら紙やすりをつけたポリッシャーでライトカバー表面を磨いてクラックを落としていくのが作業になるのですが、削りかすが水と一緒に流れ落ちるので、ボディー下部まで養生しておかないと、削りかすがボディーに付着しちゃうので、ボディー下部までの養生は必要だと思うのですけどね。
下のバケツは張った水を左手に持つタオルに含ませて、水分を出しながらポリッシャーで丹念に磨いていきます。業者さんによっては手で直に紙やすりを持ちながら磨いていく方の動画もあるのですが、しっかりクラックを落としていくにはポリッシャーを使って丹念に磨いていくことが必要なのかもしれません。
ちなみに、紙やすりの番手を聞いたら、280番から3000番まで4~5種類使うそうです。最初は粗い目のものを使い、少しずつ細かい目のものを使って丁寧に作業されてました。これも、紙やすりの番手を紹介している動画がありますが、そういった業者さんよりも、より細かく作業しているようです。
両目の研磨が終わったら、バフ磨きして、最後にコート剤を塗って終わりだそうです。コート剤は日本車用のものを敢えて使うそうです(そのほうが耐久性が良いから)。
私は研磨の途中で場を離れたのですが、かなり丁寧に作業していただきました。それでいて、ネットで出てくる「ヘッドライト研磨やります」みたいな専門店さんの料金の半額で済んだので、今回は依頼して正解でした。
こちらが、作業後のヘッドライトです。
写真だと分かりづらいかもしれませんが、実際はかなりクリアになり、見た目も満足です。これで無事車検も通してもらいました。
ヘッドライト研磨のまとめ
今回の記事は、ヘッドライトの曇りや黄ばみは放置してはダメなこと、曇りや黄ばみを除去する方法についてを本題にして、なぜ放置してはダメなのか?曇りを除去する方法について紹介してきました。
私もそうでしたが「少しくらいの曇りや黄ばみは、経年でそうなるので仕方ないよね。見た目だけ我慢すれば大丈夫だし」と思っていたのですが、実際に車検に通らないとなると、見た目我慢では済まされません。
日本の車検においてヘッドライトに必要な光量は、ロービームで1灯あたり6,400カンデラ(cd)以上です。これは車両前方を照らす際に、専用のテスターで最も明るい部分の光度を測定して確認されます。
このテスターは、車検整備を行う工場でないと用意されていないので、ユーザーが「このくらいなら光量大丈夫でしょ?」と思っても、ダメな場合があることを忘れないでください。
光量不足になるくらいのクラックや黄ばみは、まず研磨して除去することが必要です。研磨もしっかり行わないとかえって状況を悪くするケースがあるそうなので、自分で行う自信が無い方は、ぜひ専門の業者さんを探されることをオススメします。
できれば、事前に作業の状況を示している業者さんを選ばれると良いでしょう。
・養生が丁寧で、ボディー下部までしっかり覆ってから作業しているのか?
・研磨の方法は?手作業・ポリッシャー使用?
・紙やすりの番手は何種類使う?
・研磨の後のコート処理は?
この辺りの作業内容を調べて、価格も含めていくつか業者さんを調べて比較されると良いのでは?と思います。
今回の私のように、車検残期間が迫っていると、いきなり光量不足で車検通らない、と言われても対処が難しかったりしますので、少し余裕を持って、車検の見積もりをされることをオススメします。
それでは、良きカーライフを!