以前に当ブログでも「トヨタ ランドクルーザーミニ(FJ)はジムニーノマドのライバルになり得るのか?」という表題で記事にしておりますが
やっぱり出るようです。
車名はトヨタ ランドクルーザーFJ
すでにトヨタさんのサイトにも紹介されてますし、ティザーサイトもUPされてますので、これはもう確定ですね。
では、このランドクルーザーFJ(以下、ランクルFJ)はどんなクルマなのか?どんなユーザーにオススメできそうなのか?について記事にしていきます。
ランドクルーザーFJとはどんなクルマなのか?

トヨタには、日本国内において2010年から2018年まで生産された、トヨタ FJクルーザーというクルマがありました。
同時期に販売されていたランドクルーザー プラドのプラットフォームを流用してレトロなデザインに仕上げた車で、ラダーフレーム構造+2速トランスファー+電子制御トラクションでアプローチ角も確保され、その見た目以上にオフロード性能の高いクルマでした。

しかし、基本的に設計が古かったこと、V6 4Lエンジンで燃費性能が悪かったこと、後席や荷室が狭かったりと実用性に難があったこと等の理由から、新型が出ることなく、日本国内では2018年で販売を終了したクルマでした。
では、新型のランクルFJはどんなクルマになるのでしょうか?
ランクルFJ:車体サイズ

ランクルFJは、その名の通りランドクルーザーシリーズのクルマとして登場してくることになります。ただそのランドクルーザーシリーズの中では、一番コンパクトなクルマで、シリーズの末弟という位置づけになっています。
実際に車体サイズを他車と比べて見てみましょう。
| 全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース | |
| ランクルFJ | 4,575mm | 1,855mm | 1,960mm | 2,580mm |
| ランクル300(ZX) | 4,985mm | 1,980mm | 1,925mm | 2,850mm |
| ランクル250(VX) | 4,925mm | 1,980mm | 1,925mm | 2,850mm |
| 新型RAV4 | 4,600mm | 1,855mm | 1,680mm | 2,690mm |
| カローラクロス | 4,455mm | 1,825mm | 1,620mm | 2,640mm |
| FJクルーザー | 4,635mm | 1,905mm | 1,840mm | 2,690mm |
ランクルFJは、全長は短く、全幅も新型RAV4と同じサイズでそれほど大きくしていませんが、全高がかなり高いですね。
ちなみに3ドアですが、ディフェンダー90は全長4,510×全幅1,995×全高1,970ホイールベース2,585ですから、ランクルFJの5ドアとの差はありますが、比較的似た雰囲気はあるかもしれませんね。

ランクルFJ:搭載されるエンジン
ランクルFJに搭載されるエンジンは、トヨタの「2TR-FE」という 2.7Lガソリンエンジンです。
最高出力120kW(163PS)、最大トルク246N・mのエンジンで、これまでランドクルーザー・プラドやハイラックス・ピックアップ等に使われてきました。
以前のFJクルーザーで使われてきた4リッターガソリンエンジンと比べれば出力は落ちますが、この2TR-FEというエンジンは中低速トルク重視のエンジンで、低速域での粘りがあり、オフロード走行に適したエンジンとなっています。
ガソリンエンジンなので燃費はFJクルーザーの4リッターエンジンほど悪くはないでしょうけど、ハイブリッドでもないですし、車重もあるので、ランクルFJも燃費はそれほど期待できないでしょう。
ランクルFJ:シャシ構造
ランクルFJは、ランクル300や250とは異なる「IMVプラットフォーム」というシャシを使っています。IMVプラットフォームの特徴をまとめると
✅ラダーフレーム構造
・モノコックではなくラダーフレーム構造
・オフロード走破性、積載能力、耐久性に優れる
・フレームとボディが別体構造のため、整備・修理・改造が容易
✅共通設計で多車種展開
・シャシー、サスペンション、駆動系を共有。
・ボディ上部だけ変えることでSUV・ピックアップ・商用車を展開できる→ 製造コストを大幅に削減
✅ 高耐久・悪路対応設計
・想定使用環境は「未舗装路・高温多湿・砂塵」など厳しい地域
というように、悪路走破に強いシャシになっています。
ただしこのIMVプラットフォームは、フレーム重量があるため燃費が悪くなりやすく、乗用SUVとしては乗り心地がやや硬くなりそうです。またモノコックSUV(例:RAV4など)に比べて静粛性・快適性では劣る、といったデメリットもあります
ランクルFJ:サスペンション形式・駆動方式
サスペンション形式はフロントが独立懸架(ダブルウイッシュボーン式)、リヤがリジッド(トレーリングリンク車軸式)となるようです。
6速オートマチックトランスミッションとパートタイム4輪駆動システムと組み合わされます。4WDの切り替えはダイヤル式。「H2(FR)」「H4(4WD高速)」「L4(4WD低速)」を切り替えられます。またリアデフロックも装備され、オフロード走行に抜かりのない仕様になっています。
ランクルFJ:結局どんなクルマ?

ランクルFJは結局どんなクルマなのか?を考えてみました。
・車体サイズはランドクルーザーシリーズの中でもコンパクトで、狭い林道や岩場でも取り回しがしやすいサイズ感
・最低地上高も高く、アプローチ/デパーチャーアングルも大きめで、堅牢なラダーフレームを採用、サスペンションはランクル300,250と同様フロントが独立懸架(ダブルウイッシュボーン式)、リヤがリジッド(トレーリングリンク車軸式)で悪路での安定した走りが可能
・低中速トルク重視のエンジン、リアデフロックを備えたパートタイム4WDと、ランドクルーザーシリーズの名に恥じないオフロード性能を持っているクルマになっていることでしょう。そういう意味では本格オフローダーと言えるでしょう
・性能はもちろんですが、内外装のデザインもレトロでボクシーな雰囲気があり、アウトドアを好むユーザーの中で「これまでのランドクルーザーシリーズは車体が大きくて持て余す」と思っていた方には魅力的なクルマなのだと思います。
どんなユーザーにオススメできるか?

ではこのオフロード性能満載のランクルFJ。どんなユーザーにオススメできるか?考えてみます。
①オフロードを好んで走りたい人
→ランクル300,250並のオフロード性能を持ちながら、よりコンパクトなボディは魅力。大型の樹脂製バンパーで、傷が付いても高額修理のリスクがないのもオフロード派にはありがたい。
②本格的にアウトドアやキャンプで狭い林道や悪路を走る機会が多い人
→コンパクトなボディでありながら、そこそこキャンプ道具等を積載するスペースもある。またレトロなデザインはアウトドアやキャンプでも映えてテンション上がる。
③内外装ともにレトロデザインのクルマが好きな人
→これはもう、ランクルFJかジムニー・ノマドかの世界。とにかく内外装ともに無骨なデザインのクルマに乗りたい、好きなカスタムで楽しみたい、という人にはうってつけのクルマ
④簡素で整備性の良いSUVに乗りたい人
→電装に頼らず整備性が良いので、長く乗れる
トヨタのSUVのクルマの中でのランクルFJの立ち位置、特徴を他モデルと比較してみました。
🚙 トヨタSUV 5車比較(2025年時点の情報+FJ予想値)
| 項目 | ランドクルーザー FJ | ランドクルーザー 250 | RAV4(現行) | カローラクロス | FJクルーザー(旧型) |
|---|---|---|---|---|---|
| 車格ポジション | ミドルオフローダー(実用重視) | ミドル〜ラージオフローダー(高機能型) | クロスオーバーSUV(都会型) | コンパクトSUV(実用型) | ミドルオフローダー(レトロ) |
| 構造/シャシ | ラダーフレーム(IMVプラットフォーム) | TNGA-Fラダーフレーム | モノコック(TNGA-K) | モノコック(TNGA-C) | ラダーフレーム(120系プラドベース) |
| サスペンション形式 | 前:独立ダブルウィッシュボーン 後:リジッド4リンク+コイル | 前:独立ダブルウィッシュボーン 後:リジッド4リンク | 前後独立マクファーソン+ダブルウィッシュボーン | 前:マクファーソン 後:トーションビーム | 前:独立 後:リジッド4リンク+コイル |
| 駆動方式 | パートタイム4WD(低速ギア付) | フルタイム4WD | FF/E-Four(4WD) | FF/E-Four(4WD) | パートタイム4WD |
| エンジン構成(主力) | 2.7L直4ガソリン(2TR-FE) 163PS/24.6kgm | 2.8L直4ディーゼルターボ(1GD-FTV) 204PS/50kgm +HV版予定 | 2.5Lハイブリッド/2.0Lガソリン/PHEV(RAV4 PHV) | 1.8L HV/2.0L HV | 4.0L V6ガソリン(1GR-FE)276PS |
| トランスミッション | 6速AT | 8速AT及び6速AT | CVT or eCVT | CVT | 5速AT/6速MT |
| 価格帯(日本円・概算) | 約450〜550万円(予想) | 約520〜735万円 | 約370〜570万円 | 約270〜400万円 | 約350〜450万円(当時) |
| 車重 | 約1,900〜2,000kg(予想) | 約2,240~2,410kg | 約1,600〜1,900kg | 約1,400~1,500kg | 約1,950kg |
| 燃費(実用値) | 約9〜11km/L(予想) | 約10〜12km/L(ディーゼル) | 約17〜25km/L(HV) | 約17〜21km/L(HV) | 約7〜8km/L |
| 主な用途 | 本格アウトドア、林道走行、僻地走行 | 長距離オフロード・牽引・雪道 | ファミリーSUV、都会+郊外レジャー | 通勤・街乗り・軽アウトドア | クロカン・キャンプ・趣味用途 |
| 合うユーザー層(具体例) | 🟩 林業・漁業・登山・キャンプ愛好家 🟩 シンプルで整備性の高い車を求める人 | 🟧 長距離旅・雪山・トレーラー牽引 🟧 安全性や最新装備を重視する人 | 🟦 家族持ち、街と自然を両立したい層 🟦 高燃費+快適志向の人 | 🟨 都会派・コスパ重視の実用ユーザー 🟨 初SUVにも向く | 🟥 タフなデザイン好き・趣味車志向 🟥 個性と走破性を重視する層 |
| 性格を一言で | 「ランクルの原点回帰・実用ツール」 | 「万能ハイエンド・多用途SUV」 | 「都会派SUVの完成形」 | 「実用SUVのエントリーモデル」 | 「遊び心ある無骨SUV」 |
トヨタ製SUVの中でも、悪路走破性能に長け、旧FJクルーザーの無骨でレトロなスタイルを継承、ある意味では今大人気のスズキ ジムニー・ノマドの上位互換的なクルマだと言えるでしょう。そこに魅力を感じるユーザーであれば、購入する意味はあるのでしょうね。
まとめ

今日の記事では、2026年の中頃に出てくる予定の、ランドクルーザーFJについて、お話してきました。
このクルマは、ランドクルーザーシリーズの中でもコンパクトサイズですが、ランドクルーザーシリーズの名に恥じないオフロード性能を有するモデルとなっています。また、かつてのFJクルーザーを彷彿とさせる無骨でレトロな内外装のデザインも魅力的なクルマですね。
オフロード走行が好きなユーザーに限らず、キャンプ等のアウトドアを好むユーザーの中で「これまでのランドクルーザーシリーズは車体が大きくて持て余す」と思っていた方には魅力的なクルマなのだと思います。
このランクルFJについては、今月末から始まる「Japan Mobility Show 2025」でプロトタイプの展示があるので、気になる方は行かれてみてはいかがでしょうか?
さて、先日スズキの「ジムニーノマド」が受注を再開するニュースが飛び込んできました。
注文受付は2026年1月30日からと、まだ少し日はありますが、スズキは今年の7月以降ジムニーノマドの増産を行い、当初月販1200台としていた目標販売台数に対し、月あたり約3300台の生産を行っています。
その増産体制が実り、ようやく受注再開できるようになったのでしょう。
このスズキ ジムニーノマドですが、車体サイズや価格帯は違いますが、クルマの性能・性格や用途はこのランクルFJに似たものがあると思っています。ジムニーノマドの生産体制が増強され、ユーザーへのデリバリーが短くなるところへ、ランクルFJが来年中頃に発売開始される。
コンパクト~ミドルの本格オフローダーの市場が更に活気づくと良いですね。





