今年のジャパンモビリティーショーも終わり、カーオブザイヤーの発表も終わり、2025年も押し迫ってきました。
今年は「物価高」という国民にとっては有り難くない状況が続いた1年になりました。もちろんクルマの価格も相応に上がっており、今回のイヤーカーの「スバル フォレスター」は最廉価版でも車両本体価格は400万円を超えます。ある程度グレードを選び、オプションや諸費用を含めれば乗り出し価格500万円以上になるでしょう。
日本車の新車も乗りだし500万円以上払うのが当たり前、って時代になると、もっとリーズナブルなクルマが欲しくなります。今回、取り上げる「トヨタ スターレット」は、昭和の時代にトヨタのベースモデルながらも人気のモデルとして存在していましたが、令和の物価高の時代だからこそ、復活してほしいモデルだと思います。
今日の記事では、ヤリスとの価格差や役割の違いを踏まえ「もし復活するなら、スターレットはどんなクルマになるのか」を現実的に考察します。ぜひ最後までお付き合いください。
新型スターレット、復活するならこんなクルマ?

新型スターレットの予想については、以前に下記で詳しく予想スペックをまとめていますので、詳しくお知りになりたい場合はチェックしてください。
おさらいのために、簡単にまとめてみます。
(1)車体サイズは、全長約3680mm、全幅1665mm、全高1520mm程度、ヤリスの全長3950mm、全幅1695mm、全高1495mmですから、ヤリスよりは少し小ぶりになる印象ですね。
(2)車種は大きく2車種、基本となるグレードには、1.0リッターもしくは1.2リッターのハイブリッドモデル。もしかしたら1.0リッターのガソリン車も廉価グレードとして出てくるかもしれません、これが基本のグレードとして出されるでしょう。
(3)そして当然「GR」の名を冠したグレードもあります。GRスターレットの予想スペックは、1.3リッターターボで最高出力150ps、最大トルク22.5kgm(約220Nm)。トランスミッションは6MTの予想がありますが、もしかしたらCVTの可能性があるかもしれません。
新型スターレットとヤリスの棲み分けを徹底比較

トヨタの現在のベースモデルは「ヤリス」になっています。さすがにトヨタのベースモデルでありながら「クラスレスな新世代コンパクトカー」で、「軽く、小さく、扱いやすく」を追求し、TNGAプラットフォーム(GA-B)の初採用により、「走る楽しさ」と「安全・安心」を両立させ従来のコンパクトカーの概念を超え、「ファーストカー」として選ばれるクルマを目指したのが特徴です。
確かに、「走る楽しさ」と「安全・安心」を両立したことは、私も実感できていて、以前ヤリスのハイブリッドを1日お借りしたときの、記事をアップしておりますので、こちらもぜひご覧いただければおわかりになるかと思いますが
とにかく、その走りの良さには驚きがありました。もちろんGRヤリスほどのパフォーマンスはありませんが、高速道路では安定し、峠道では小気味よくまた車体の軽さやモーターの加勢もあって坂道もそれほど苦にしない。市街地もトルクがあって気持ち良く走ってくれる、従来のトヨタ車にありがちな「快適なんだけど楽しくない」という走りとは違い「運転が楽な上、結構楽しいかも?」ってクルマになっていました。
ヤリスは楽しいロードカー、スターレットはシティーコミューターの位置づけ?
ここで、ヤリスよりも1つ上のモデルである「トヨタ アクア」についても乗り味を見てみましょう。
アクアはヤリスと同じプラットフォームを持ち、今年ビッグマイナーチェンジでハンマーヘッドデザインの新車が登場しましたが、私もそのハンマーヘッドデザインになる前のアクアを何度かレンタカーで借りて高速道路や一般道を時間を掛けて走行したので、そのときの印象をお話しします。
アクアはヤリスと違って旧来のトヨタ的でソフトな乗り心地となっていて、それが。却って高速道路での安定感に心細さを感じる乗り味となっていました。基本的には走行車線を普通に走るのに適しているクルマ。逆に一般道はソフトな乗り心地が功を奏して、ヤリスよりも乗り心地が良いと好意的に思われるユーザーもいると思います。アクアは「一般道を移動するための手段」として使うならば、トヨタのコンパクトカーの中ではオススメできるものです。
対してヤリスは前述の通り、高速道路で積極的に追い越し車線を使っても安定して楽しく走ることができますし、アクアよりも低重心のボディーにより一般道でもフットワーク良く走ることができるので、単に移動するための手段ではなく、クルマを運転する楽しさも享受できるクルマ、楽しいロードカーと言って良いかと思っています。
では、新型スターレットはどんなクルマになるのか?
すでにトヨタ的な乗り味はスターレットより2つ上のモデルのアクアが担っており、楽しいロードカーは直上のモデルであるヤリスが担っています。ヤリスよりもコンパクトなスターレットの位置は、やはりコンパクトさを売りにして、燃費が良く、駐車場での取り回しも楽なシティーコミューター的な存在になると考えています。
ライバル車はスズキのスイフト。そして各メーカーの軽自動車になるのでしょう。
GRグレードでヤリスとスターレットは明らかに違う存在に?
スターレットもGRグレードは当然登場させてくるでしょう。GRグレードに関してはヤリスとの違いは明白で、ヤリスといえば現在WRC(世界ラリー選手権)で活躍しているラリーカーのベース車となるくらいのクルマで、スポーツカーも真っ青な高性能車です。
あの高性能を使いこなせるのならGRヤリスは魅力的ですが、「そこまでの性能じゃなくてもいいから、もうちょっと気軽に付き合えて楽しくスポーツ走行ができ、もうちょっとリーズナブルなクルマが欲しい」というユーザーの受け皿がトヨタには無いのです。
確かにヤリスハイブリッドは、走りの良いコンパクトハイブリッド車ですが、走りを中心に楽しみたいユーザーにとっては少し物足りない、でもGRヤリスでは大袈裟過ぎるし、価格も高くて手が出ない。そんなユーザーにGRスターレットは応えてくれるクルマとなるでしょう。今は販売終了しましたがスズキのスイフトスポーツのような存在になると思っています。
GRスターレットは、このスイフトスポーツのシェアを奪うようなクルマとして登場してくるでしょう。4WDで304psという高性能のGRヤリスとは違い、軽量ボディーに小排気量ターボをFFの駆動方式でキビキビ走らせるクルマとして登場させてくるでしょうね。
ヤリスって実は割と高い、低価格帯にスターレットを置きたいのでは?
ヤリスは最廉価バージョンの「X」というグレードが車両本体価格160万円台となっています。でも、装備が省かれていたり、ハイブリッドではなくガソリンエンジンになります。ハイブリッドのヤリスを狙うのなら最低でも車両本体価格220万円以上出さなければなりません。
トヨタ ヤリス 価格一覧(2025年2月モデル〜)
| パワートレイン | 駆動方式 | 価格帯(税込) | 特徴 |
| 1.0L ガソリン | 2WD | 1,657,700円 〜 1,820,500円 | 最も安価なエントリー仕様。街乗り中心向け。 |
| 1.5L ガソリン | 2WD / 4WD | 1,699,500円 〜 2,545,400円 | 軽快な走りが特徴。MTの設定があるのもここ。 |
| 1.5L ハイブリッド | 2WD / E-Four | 2,200,000円 〜 2,887,500円 | 圧倒的な低燃費。現在の主力モデル。 |
そして、ヤリスハイブリッドはグレードやオプション次第で300万円台後半〜400万円超になるケースも珍しくありません。
先日、私の友人がヤリスハイブリッドのE-Four(4WD)を購入したのですが、必要なオプションを追加していったら、見積金額が400万円を超えたそうです。メーカーのベースモデル車の新車を買うのに400万円かかってしまうという現実を考えると、さすがに「新車は手が出ないよね。中古車でいいか?」って気になってしまいますよね。
メーカーも、今の先進の安全技術を新車にどんどん投入し、更に低燃費のハイブリッドシステムのモデルを生み出していけば、当然それが車両価格に転嫁されるわけで、新車価格が高くなるのは仕方の無いところですが、本当は開拓したい若い世代のユーザーを取り込めない、という結果になってしまっています(それが”クルマのサブスク”を発展させたことに繋がるのですが)。
ヤリスの価格が高くなってしまった(GRグレードは尚更手が出ない)ところで、やっぱりトヨタとしては、自メーカーへの入門用として、更にリーズナブルの車種を追加したい、と思っているはずです。そういう意味でもスターレットを復活させ、ヤリスよりもリーズナブルなモデルとして位置づけたい、ヤリスに代わるベースモデルとして売り出したい、違うユーザー層も獲得したいと考えているはずです。
以上のように、ヤリスと新型スターレットは、モデルとしての性格の違い、性能の違い、価格の違い、といったところで棲み分けられる、と考えています。この先も、アクアの車体を大きくし高級化させ、それに続いてヤリスも車体を大きくしていくでしょう。もちろんそれに伴い価格も上昇させるはずです。
ですが、上記の通りヤリスと棲み分けがしっかりできれば、ヤリスに代わるベースモデルとしてスターレットの存在価値が更に上がると予想しているのです。
新型スターレットの購買層とは?ターゲットを予想する

さて、新型スターレットの概要、そしてヤリスとの棲み分けについて紐解いたところで、スターレットはどんな購買層を狙って登場させるのか?を考えてみましょう。
基本グレードは、女性オーナー、高齢者がターゲット?
GRグレードではない基本グレードのスターレットについては、女性オーナーや高齢者がターゲットになるのではないか?と考えています。ちょうど2004年にスターレットの後継モデルのように登場したトヨタのパッソ、ダイハツのブーンのような位置づけのクルマになりますので、ちょっとした買い物や短距離の移動に使いたい女性や高齢者にはちょうど良いクルマになると考えています。
逆に、運転に慣れたユーザーや、人を乗せる機会が多いユーザーには不向きかもしれません。ある程度運転に慣れていたり、多人数を乗せるために後部座席を頻繁に使う機会が多ければ、スターレットでは厳しいでしょう。今のヤリスでも後部座席はミニマムで長時間乗りたくないほどですから。それよりもトヨタにはライズやヤリスクロスといった小さなSUVもあるので、そちらを選ぶケースが多くなるでしょうね。
「そんなユーザーには軽自動車があるじゃないか」と仰る方も多いかと思います。確かに維持費を考えれば軽自動車が有利ですし、取り回しも楽なのですが、今や軽自動車の新車価格も意外と高いのが事実、そして衝突安全性についてはどうしても疑問符がついてしまうと思っています。
現在の軽自動車よりも安い価格帯で、リッターカーとしての安全性を装備したクルマとして売り出せば、運転に不慣れな女性や高齢者もターゲットにできますし、夫婦であればセカンドカーとして奥様の買い物クルマとして一台欲しい、というニーズにも応えることができるのです。
GRモデルはモータースポーツ入門からスポーツ走行を欲するユーザー向け?
GRモデルは、まずモータースポーツの入門として需要はあるでしょう。今の国内ラリーのJN-5クラス、あるいは、排気量が多少大きければJN-4クラスでスズキ スイフトスポーツのライバルとして参戦できそうです。
また、モータースポーツまで考えていない、というユーザーでも、スイフトスポーツみたいにフットワーク良くクルマを走らせたい、というユーザーに最適なクルマになると思います。本当は若いユーザーをターゲットにしたいのだと思いますが、実は40歳代以上の大人のユーザーがメインターゲットになるのではないか?と考えています。
スイフトスポーツの試乗を含めた記事はこちら
私のような50歳代以上のユーザーなら、かつての「かっとび」「韋駄天」と言われていたスターレットの記憶も残っています。今年はホンダがかつての名車「プレリュード」を復活させました。今後もしかしたら各メーカーとも昔の名車の名を冠したクルマを登場させるブームが来るのかもしれません。そうなるともう50歳代以上のユーザーは注目せざるを得ないことになりますよね。
新型スターレットは売れる?

ここまで、新型スターレットの概要とヤリスとの比較、主な購買層・ターゲットについて見てきました。
この新型スターレット、発売時期は基本グレードは2026年、競技ベースのGRグレードは2027年頃になるという見方が強まっています。ではこの新型スターレット、果たして売れるのか?
今や大型から小型にかけてSUVがブームです。国内外各メーカーともSUVを作っていないメーカーは皆無と言っていいくらいですし、クルマ雑誌で取り上げられるクルマも最近はSUVの車種が大半を占めています。そんな中、トヨタ最小のハッチバックであるスターレットを復活させて売れるのか?
結論から言いますと、今だから売れると思っています。今だからこそ新型スターレットの復活は一定の合理性があると考えています。ただし価格設定が大事になるでしょう。
これから、新車はどんどん高価になっていきます。メーカーはモデルチェンジのたびに車体を大きく豪華にしていきます。そこには衝突安全ボディーや安全に関する装備が盛り込まれてくるので、大型化、高価格化は仕方のないところですが、なかなか賃上げがなされない今の日本のユーザー層にとっては、ますます新車が手の届かない存在になっていきます。
そこで、低価格を維持しながら安全のための装備を標準で用意するスターレットを登場させれば、メインカーとしても、セカンドカーとしても、需要が出てくると考えています。もちろんヤリスとの棲み分けを明確にすることで、価格帯や使い方の違いが明確になるので、ユーザーも新型スターレットを選びやすくなるでしょう。
そして、ライバル車の存在も必要になるでしょう。特にGRグレードについては、ライバルとなるスズキのスイフトスポーツの存在が必要になります。現在、スイフトスポーツは販売終了となり、次期モデルの噂もあまり出てこない状況ではありますが、それはGRスターレットの動向を見ている面もあるかと思います。
GRスターレットとスイフトスポーツ。この2台がライバルとしてしのぎを削っていく市場を私としては見てみたいな、って思う訳なのです。
現時点では公式な情報はありませんが、ヤリスが高級化した今だからこそ、スターレットという選択肢が再評価される可能性は十分にあると感じます。
今後のトヨタの動きに注目したいところです。






