クルマの価格がどんどん上がっている今、「楽しいクルマに乗りたいけど、さすがに高すぎる…」と感じている人は多いのではないでしょうか。
かつては200万円台で新車のスポーツモデルが手に入った時代もありましたが、今ではコンパクトカーでも300万円に迫る時代。性能の良いスポーツモデルとなると500万円なんてプライスも当たり前な時代になっていて趣味としてのクルマの購入は、どんどんハードルが上がっています。
こちらの記事で「クルマが高すぎる問題」を紹介しています。
それでも、「運転して楽しいクルマ」に乗ることを諦める必要はありません。
新車だけにこだわらず、状態の良い中古車も視野に入れれば、300万円という予算でも“走りの楽しさ”と“日常の使いやすさ”を両立したモデルはしっかり存在します。
今回の記事は、そんな中から実際に選べる現実的なラインとして「300万円で買える楽しいクルマ」を5台ピックアップしました。今回は私が考える5台をご紹介しますが、このご時世ですから是非皆さんにとっての「300万円で買える楽しいクルマ」も考えてみると楽しいと思いますよ。
1台目:安くてここまで楽しいのは反則レベル スズキ スイフトスポーツ

まず、私が考える「300万円で買える楽しいクルマ」の1台目は、スズキのスイフトスポーツです。
スイフトスポーツは、現在新車で購入することはできませんが、中古車のタマ数は多く、2020年式以降、走行距離3万km以下、ディーラー認定中古車で検索しても全国で80件ほどがヒットします。この条件なら200万円以下のクルマも選べますし、MT・ATのタマ数の偏りもないので、比較的選びやすいクルマだと思います。
もちろん、今後新車販売される可能性も大いにあるクルマです。
特に一番新しいスイフトスポーツは、1.4Lターボ(140ps/230N・m)+車重1トン未満という組み合わせで、今の時代の4ドア車としてかなり貴重な存在です。また、ターボモデルならではの加速の鋭さと、コーナーでの軽快さで「走る楽しさ」をしっかり味合わせてくれます。
そういうスポーツモデルではありますが、維持費も比較的安く、乗り心地もそれほどハードには振ってませんので、日常使いから長距離走行までしっかりこなしてくれます。ただ内装の質感は若干目をつぶる必要があるかもしれません。
まさに最初の一台としても、最後の一台としても成立する万能型スポーツです。
2台目:操る楽しさを感じられ、意外とATが楽しい スバルBRZ

2台目は、スバルのBRZを選んでみました。
現行(ZD型)のBRZを300万円以下で買おうとすると、新車は無理ですが、中古車は3万km以下のディーラー認定中古車でも250万円から選ぶことができますし、全国に100台ほどタマ数はありそうです。
先代(ZC型)になると、ディーラーの認定中古車で探すのは難しくなりますが、200万円台前半から狙うこともできますし、状態の良いクルマをじっくり乗り比べて選ぶ楽しさも味わうことができます。
「意外とATが楽しい」と言うのは先代(ZC型)のほうで、86も同じなのですがMTの1速のクラッチミートのポイントがちょっと分かりづらく、またバネ感が強く唐突に繋がるため、クセがあるなぁと感じました(慣れれば問題ないと思いますが)。これは現行(ZD型)では改善されていて、違和感なく運転できると思います。
ATは、先代(ZC型)では、エンジン特性を生かした走りができますし、現行(ZD型)では、スポーツモードの制御が賢くなり、ブレーキング時のブリッピングがより鋭くなっています。また、年次改良で、ダウンシフトの許容回転数が引き上げられ、ATでスポーツ走行を行っても充分楽しい走りが実現できると思います。
なぜGR86ではなく、BRZなのか?と言いますと、足回りの特性でよりハードル低くスポーツ走行を楽しめるのが、BRZだと思うからです。
GR86の足回りの特性はフロントが柔らかめでリアを固めていて、クイックに内側へ入り込むため、リアを滑らせやすく、ドリフトをコントロールする向きの運転はしやすいのですが
日常使いも考えれば、フロントを硬め、リアを動かす設定のBRZのほうが、リアの接地感が高くなり、「綺麗なラインで速くコーナーを駆け抜け、コーナー後半で踏める特性のほうが、一般ドライバーにとっては楽しい運転ができると考えました。
このBRZ、一応乗員定員は4名になってはいますが、さすがに後部座席への乗車は苦しく、基本2名で後部座席は荷物置きとして使うことになると思われます。
「ハンドルを切る、アクセルを踏む、それだけで楽しい」そんなクルマを探している人にはBRZは間違いなく刺さる1台です。
3台目:奥様から文句を言われない実用スポーツ ホンダ シビック

3台目は、現行型のホンダ シビックです。
現行型(FL系)のシビックは、2021年登場とまだ新しいクルマなので、新車はもちろん中古車も300万円の価格に収められるタマ数は少ないのですが、ディーラーの認定中古車でも少しずつ300万円に収まるクルマが増えているようです。
シビックで「運転が楽しい」と言えば、TYPE Rが真っ先に頭に浮かびますが、現行(FL系)のTYPE Rは中古でも550万円以上ですし6速MTのみ。TYPE Rほどの過激さは要らない人のために、これまた走りが楽しそうなRSも中古車でさえ350万円以上しますので選から漏れてしまいます。
ですが、現行型シビックは300万円予算で狙える、LXグレードやEXグレードでも充分走りの楽しさを得ることができるので、オススメです。
LXやEXの1.5L VTECターボエンジンは、低回転からトルクが立ち上がるため、街乗りでもキビキビ走ります。登場当初はLXやEXにもMT仕様があったので、上手くタマを見つけられたら、MTでの運転を楽しめますし、CVTもステップ変速制御(全開加速時に有段ギアのように変速する)により、ラバーバンド感の少ないスポーティな吹け上がりが楽しめます。
この現行型シビック、全長は4,560mm全幅1,800mmとミドルクラスの大きさで、人によっては「大きくて心配」って方もおられると思いますが、その分前席・後席とも居住空間は大きいですし、荷室は450Lほどあるので、使い勝手も良好。それでいてガソリン仕様のLXで1,360kg、EXでも1,370kgと軽めの車重ですので、1.5L VTECターボエンジンで軽快に走ることができます。
e:HEV仕様もありますが、まだ中古車市場にはながれておらず、車重もガソリン仕様よりも100kg重くなりますので、もし気になるのであれば。もう少し待ってガソリン仕様と乗り味を比較して選ぶと良いかと思います。
家族持ちでも奥様に文句を言われず楽しいクルマに乗れる筆頭のクルマではないかと思うのです。
4台目:日常の中で運転が楽しいSUV ホンダ ZR-V

4台目として選んだのは、ホンダ ZR-Vです。
「またホンダかよ!」と思われるかもしれませんが、このZR-Vはプラットフォームを含めた基本ハードウエアはシビックとの共通点が多く、フロントセクションがシビックベースで、フロアの後半やリアサスペンションは、より堅牢なCR-Vをベースとしているとのことで、SUVながらしっかりしたスポーツ走行も可能なクルマなのです。
このZR-V、2023年4月に登場したばかりのクルマなのですが、ディーラーの認定中古車市場でも割とタマ数があって2023年式以降、3年落ち未満で200万円台後半のクルマが多く、選びやすいクルマと言えるかもしれません。
エンジンはシビックと同じ1.5L VTEC ターボエンジンとZR-Vの「ガソリン車」とe:HEV(ハイブリッド)が用意され、ガソリン車はSUVながらFFなら1,460kgと軽めの車体を軽快に走らせることができ、ハイブリッドなら床下バッテリーによる低重心で安定した走行を実現するとともに、e:HEVによる加速の楽しさもあるので、どちらを選んでも楽しむことができます。
ただ、どうしてもこういったSUVはセダンやハッチバックのクルマよりも車重は重いので、燃費の面で不利なところはあります。1.5L VTEC ターボエンジンはレギュラー仕様ではありますが、燃費は若干渋くなると思われます。
ですが、SUVらしい目線の高さを生かし視界が良く運転がしやすいこと、400リッター弱の荷室の広さもあって「どうしてもSUVが欲しい、でも運転も楽しみたい」という方にはZR-Vは、ぴったりのクルマなのです。
5台目:所有感と走りの両立を目指すなら MINI クーパーS

最後、5台目として選んだのは、ミニ クーパーS(5ドア)です。
ミニで楽しいクルマを挙げるのであれば、3ドアのクーパーSやJCWを考える方も多いと思いますが、この5ドアは、走りの楽しさと実用性を両立した輸入ホットハッチとして、オススメできるクルマだと考えています。
ただしまだ、認定中古車市場において価格は高めですが、5年落ちくらいまで考えれば比較的低走行のクルマも見つけられそうな状況です。
ミニのことを「ゴーカートフィール」と言う自動車評論家さんは多いのですが、私はもうこの写真のF55型のミニ以降であれば、もう立派なドイツ車のフィールで、しっかりした乗り味でエンジンもBMW譲りの2リッターターボエンジンのパワーと吹け上がりの楽しさを味わいながら楽しい運転ができると思います。
国産車にはない内装デザインや雰囲気も含めて、“所有する楽しさ”を感じられる1台です。
番外編:掛け値なしに運転して楽しい アバルト500/595

「300万円で買える楽しいクルマ」の5台には含めませんでしたが、番外編としてこの アバルト500/595をどうしても挙げておきたいと思います。
今、正規ディーラーの認定中古車はアバルト595がほとんどですが、300万円を切るクルマも多くなってきました。
現在、アバルト595は新車では「F595」というネーミングで5速MT仕様しかありませんが、中古車であれば、MTモード付き5ATの「コンペティツィオーネ」や「ツーリズモ」も選べるので、「3ペダルMTはちょっと・・・」って方でもATでアバルトの楽しさを味わうことができます。
このアバルト、とにかく掛け値なしに運転が楽しいクルマです。車重はMT仕様のF595で1,120kgと軽く、1.4L直4ターボエンジン(165ps/210N.m)で豪快な加速を実現してくれます。
MTのクラッチミートもクセが無く意外と簡単に繋がります。MTのシフトはフロアではなくフロントパネルの下部にあって、カッチリ感はありませんが、渋さは無く、スコスコ入ります。
エンジンは2000rpmも回っていれば十二分なパンチ力があるが、3000rpmでさらに力を増し、4000rpmで勢いが加わり、5500rpmから6500rpmのリミットまで明確に衰えることがなくパワーを与えてくれます。トップエンドでのエンジン音も相まって、もう駐車場から出るタイヤの一ころがりから楽しくなっちゃって、市街地でもワインディングでも、アドレナリン出まくりなクルマです
そんな楽しいアバルトにも欠点はあります。後部座席の乗り心地は若干厳しく、986ボクスターのスポーツシャシを所有していた友人が後部座席で試乗して「かなり厳しい」と言っていたくらい。それと、運転者もアドレナリンが出まくりで、たぶんロングドライブには向かないこと、東京からだと箱根で遊んで帰ってくるくらいで結構疲れちゃうかもしれません。
運転の楽しさだけなら、上記5台よりも上ですが、欠点もあるクルマ。スイフトスポーツと性格は似たところはありますが、より過激さが欲しいのなら、このアバルトがオススメです。
「300万円で買える楽しいクルマ」を考えてみるのも、また楽しい

今日の記事では、「300万円で買える楽しいクルマ」と題して5台+1台をご紹介しました。
クルマの価格が上がり続ける今の時代でも、少し視野を広げれば、300万円という現実的な予算でも“楽しいクルマ”はまだ選べます。上の写真のマツダ ロードスターだって、1台で生活のすべてを完結するのは難しいですが、軽く小さいスポーツカーとして”人馬一体感”を中古車なら300万円以下で買える数少ないクルマです。
今回紹介した5台はそれぞれキャラクターが違い
・軽快でありながら、ある程度の実用性も兼ね備えた マツダ スイフトスポーツ
・純粋なFRの運転の楽しさを実現してくれる スバル BRZ
・実用性充分で奥さんに拒否されず楽しい運転を実現する ホンダ シビック
・SUVでも走りたいなら ホンダ ZR-V
・輸入車の質感の良さとデザイン・エンジンの良さで選ぶなら MINIクーパーS
と、ライフスタイルに合わせて選べるラインナップで選びました。
クルマが高すぎる時代になりました。
それでも、探せばまだ「現実の中で楽しめるクルマ」はちゃんと残っています。
大事なのは、スペックの高さではなく”自分にとって“楽しいかどうか””です。
300万円という現実的なラインの中で、あなたにとっての1台が見つかれば嬉しいです。



