<お知らせ>
今回の記事の中で、トヨタのbZ4Xをリース専用発売と書いてしまいましたが、読者様からのご連絡があり、私の間違いで、今は一般販売しています。大変申し訳ありませんでした。
トヨタのコンパクトクロスオーバーSUVとして、2016年に登場した初代C-HR。2023年に国内における生産が終了し、その後はカローラクロスが後継のような役割を担っていました。
トヨタ車としては、割とスタイリッシュなスタイルで、街中で見る機会も多い初代C-HRでしたが、新車販売が終了して2年経つ今は、少しずつ街中で見る機会も減ってきている感じがします。
欧州市場では、2代目のC-HRが登場していますが、未だ国内に導入される気配はない状況。そんなC-HRですが、この度新しくC-HR+というバッテリーEVモデルが発表になりました。
今回の記事では、2代目C-HRやバッテリーEVのC-HR+がどんな車なのか?初代と比べてどう変わっているのか?今後、日本への導入はあるのか?についてまとめていきます。
2代目C-HRの概要は?初代とどう違う?
未だに国内導入されていない2代目のC-HRはどんな車なのでしょう?
2代目C-HRは2023年6月に欧州で正式発表され、同年10月に発売されました。
2代目C-HRは、初代モデルの特徴であった個性的なデザインをさらに進化させ、C字型のヘッドライトや流れるようなボディラインを採用し、2トーンカラーの設定も可能です。
初代C-HRと比較してみました。
外寸の比較
初代と2代目は、同等のサイズ感ですが、やはり欧州を主戦場にしているだけあって、全幅を拡げていますね。初代はもスタイリッシュでしたが、まだどこか日本人好みのテイストが入っているように思います。
パワートレインの比較
①初代
・1.2L 直4直噴DOHCターボ(8NR-FTS型):前輪駆動(FWD)および電動4WD
・1.8L ハイブリッド(2ZR-FXE型):前輪駆動(FWD)
②2代目
・1.8L ハイブリッド(2ZR-FXE型):前輪駆動(FWD)
・2.0L ハイブリッド(M20A-FXS型):前輪駆動(FWD)および電動4WD
・2.0L プラグインハイブリッド(PHEV):前輪駆動(FWD)
今の時代ですから、2代目はガソリン単体のパワートレインは出していません。2代目の2.0L ハイブリッド(M20A-FXS型)や2.0L プラグインハイブリッド(PHEV)は、現行プリウスにも使用されているユニットですね。2代目はすべてハイブリッドやプラグインハイブリッドになっていますが、強力なシステムで走行性能も秀逸なものになっています。
2代目C-HRはなぜ国内導入されないのか?
そんな2代目C-HRですが、なぜ国内導入されないのでしょう?
日本国内で発売されない理由については、トヨタから公式に明言はありませんが、以下のような要因が関係していると考えられます。
国内における代替車種の存在
トヨタが初代C-HRを出した2016年当時は、こういったクロスオーバーSUVの車種はほとんど存在せず、その後2020年にヤリスクロス、2021年にカローラクロスが出てきて、少しずつC-HRの市場を侵食していった、ということが言えます。
・(C-HRより)よりコンパクトで取り回しの良い車 → ヤリスクロス
・(C-HRより)実用的で価格帯が近い → ライズ、カローラクロス
というように、トヨタ内でモデルがC-HRのポジションに重なってきており、「わざわざC-HRを買う理由」が薄くなっている可能性があります。特にカローラクロスがC-HRと似たサイズ・価格帯でありながら、室内空間や積載性で優れているため、多くのユーザーが選ぶようになっています。トヨタとしては、初代C-HRの販売末期に販売台数が低迷していたので、2代目を欧州で販売開始以後、現在においても、日本国内では販売台数が見込めないことで、導入を躊躇していると思われます。
トヨタ車以外でも、ホンダやスバルが同様のクロスオーバーSUVを出してきていますので、益々C-HRを導入する意図が薄れてきているのでしょうね。
ヨーロッパ市場重視の戦略
2代目C-HRは、デザイン面や機能面でヨーロッパ市場のニーズを強く意識して開発されたと言われています(特にプラグインハイブリッドモデルの追加など)。確かにデザインを見ると、今のトヨタ車ラインアップのデザインとは違ったテイストになっています。
また、2代目C-HRは欧州(トルコなど)での生産がメインとなっており、日本に導入するにはコスト面や供給体制で難しさがあるでしょうね。
C-HR+発表で今後はどう変わる?
2代目C-HRの日本国内導入が難しい今、トヨタは欧州にてバッテリーEV(BEV)のラインアップを拡充していくことを発表、新型車として発表された車種の一つがこのC-HR+です。
どんな車か?
C-HR+のプラットフォームは、バッテリーEV(BEV)専用に設計されたトヨタのe-TNGAプラットフォームを採用しています。、低重心化、高剛性化、優れた重量バランスを実現しています。初代C-HRはTNGAプラットフォームを採用していましたが、C-HR+のe-TNGAプラットフォームは、TNGAをBEV用に最適化したものになっています。
また、e-TNGAプラットフォームは現在国内では、リース専用販売の「bZ4X」やレクサスの「RZ」にも使われています。
<C-HR+の概要>
駆動 | FWD | AWD | ||
---|---|---|---|---|
全長 | (mm) | 4,520 | ||
全幅 | (mm) | 1,870 | ||
全高 | (mm) | 1,595 | ||
ホイールベース | (mm) | 2,750 | ||
システム最大出力 | (kW) | 123 | 165 | 252 |
航続距離 | (km) | 455 | 600 | 525 |
0-100km/h加速 | (秒) | 8.6 | 7.4 | 5.2 |
バッテリー容量(総電力量) | (kWh) | 57.7 | 77.0 |
バッテリーは2種類、駆動方式も前輪駆動と全輪駆動の2種類です。
初代~C-HR+までを比較
C-HR+の外寸はまだ、開発目標値であり、車重の記載も無いのですが、初代~C-HR+までの外寸の比較をすると、やはりC-HR+は初代、2代目と比べて一回り大きくなっていますね。1クラス上の車種という位置づけと考えてよいのではないでしょうか。
今後の展開予想
このC-HR+、今後の展開はどうなるでしょうか?
欧州では、2025年後半に発売が予定されています。どちらかというと都市部での使用を想定したコンパクトなサイズのBEV(バッテリーEV)でありながら長い航続距離を兼ね備え、環境規制の厳しい欧州での需要に応えるモデルとして販売されるようですね。
では日本国内への導入はどうなるでしょうか?
やはり、トヨタからも現時点での導入予定は発表されていません。同じe-TNGAプラットフォームを持つレクサスRZが日本国内では展開されてますし、「bZ4X」は、リース専用販売だけで一般販売されてませんから、C-HR+の国内への導入は現時点ではかなり難しいように思います。
現状、日本国内でBEV(バッテリーEV)車種はまだまだ少ないところです。日本ではまだ充電インフラが整っていない(特に集合住宅等)こと、BEVは実際の航続距離が使用状況によって大幅に変わってしまうこと、価格が高いこと、といった理由でユーザーが購入するのに慎重になっていますし、日本のハイブリッド車が、低燃費・信頼性・コストバランスに優れているため、わざわざBEV(バッテリーEV)を!という機運が弱いのは事実だと思います。
しかしながら、今後2035年にガソリン車の新車販売が禁止され、国内メーカー各社とも電動車への切り替えが進んでいく中で、更に充電インフラが整っていけば、BEVの車種も増えていき、C-HR+の国内導入も現実的になるかもしれません。
いずれにしても、今後の展開に期待ですね。