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スバルWRXのコンプリートカー「S210」抽選申し込みが始まった!

先の「東京オートサロン2025」でスバル/STI(スバルテクニカインターナショナル)から発表された、スバルWRXのコンプリートカー「S210」ですが、遂に抽選申し込みが始まりました。

STI(スバルテクニカインターナショナル)は、スバルの100%子会社で、モータースポーツ活動や高性能パーツの開発・販売、コンプリートカー(特別仕様車)の企画・開発を手がける企業です。

STIは、これまでもインプレッサやレガシィ等をベースにしたコンプリートモデルの開発や、各社のスポーツ系パーツ単体の開発を行っており、スバルのモータースポーツ活動においては無くてはならない会社です。

今回STIが開発したのは、スバルの「WRX STI Sport R EX」という現行スバル車の中でも高性能スポーツモデルをベースにした「S210」というモデルです。ただでさえ高性能なベースモデルをSTIがどう味付けしているのか?歴代の「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルとは明らかに違う点もあるなどトピックがある車両で、また価格もベース車両自体が高額なのもあり、更に値段が上昇しています。

果たして、今回のコンプリートモデル「S210」は、限定モデルとしてこれまでの「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデル同様、刺激的なモデルになるのか?価格に見合ったモデルで、抽選に申し込むだけの価値はあるのか?をテーマにして今日の記事としていきたいと思います。

「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルの歴史

「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルの歴史の前に、このモデルを取り上げる必要があるでしょう。

スバル インプレッサ 22B STI versionです

インプレッサ22B-STiバージョンは、1998年に400台限定で発売されたプレミアムスポーツクーペで、世界ラリー選手権(WRC)で3連覇を達成した「インプレッサWRC'97」のイメージを忠実に再現した特別モデル。1998年は元となるインプレッサWRXはSTIバージョンVの頃です。

通常モデルのWRX STIバージョンVは、伝統の2リッターターボ(EJ20型)ですが、22B-STiバージョンはエンジン排気量を2.2L(2,212cc)にボアアップされたEJ22改型水平対向4気筒DOHC16バルブターボエンジンを搭載。最高出力は自主規制上限の280PS(206kW)/6000rpm、最大トルクは37.0kgf・m(363Nm)/3200rpmと、従来のSTiモデルよりもトルクを増強(+1.0kgf・m)させています。

トランスミッション・駆動系には5速MT+ドライバーズコントロールセンターデフ(DCCD)付クロスミッションを採用。ギアの強化やツインプレートクラッチの採用により、高出力・高トルクに対応。WRカー同様の専用チューンを施したビルシュタイン製ダンパーとアイバッハ製スプリングを装備。235/40R17タイヤとゴールド塗装のBBS製鍛造アルミホイールを組み合わせています。

エクステリアは、前後ブリスターフェンダーや専用バンパー、アルミ製ボンネット、大型リヤスポイラーなど、この頃スバルが参戦していたWRCで使用していたマシンの迫力ある外観を忠実に再現した車でした。

このインプレッサ22B-STiバージョン、発売当初の価格は、通常モデルのWRX STIバージョンVの291.9万に対し500万と高額。しかしながら、今やこの22B-STiバージョンは幻の名車となっていて、中古車として出てこようものなら3,000万円という値が付いてもおかしくないくらいの車です。

 

その後、2000年に最初の「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルである「S201 STIバージョン」が発売されます。

GC8型インプレッサをベースに、専用スポーツECUと吸排気系の変更により、エンジンは走行出力300psまで向上。車高調整式強化サスペンション、リヤ・フルピローラテラルリンク、リヤ・フルピロートレーリングリンクによりシャシー性能を高め駆動系にはフロント・ヘリカルLSDを装着。グリル一体式フロントエアロバンパー、大型エアスクープ、砲弾型ドアミラー、サイドスカート&リヤドアスパッツ、ダブルウィングリヤスポイラーに加え、ディフューザー形状のリヤエアロバンパーなどを装着し、写真のとおり、迫力あるフォルムの車でした。

 

その後も「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルは、レガシィB4ベース、WRX STIベースで代を重ね、日本国内向けに開発・発売されたのは2017年の「S208」が最後でした(その後2019年に「S209」が出ますが、米国向け専用モデルとして発売され、日本国内導入はありませんでした)。

WRX STIをベースに、エンジンを専用チューニングし、329ps(242kW) 44.0kg・m(432N・m)を発揮、足回りは、11:1のクイックなステアリングギア比、フレキシブルタワーバーはじめSTI独自のパーツ類に加え、フロントには可変減衰力サスペンションDampMaticRIIとフロント+リヤのアクティブ・トルク・ベクタリングの効果により強靭でしなやかな乗り味とシャープなコーナリングを実現した車となりました。

この最後に日本国内で発売された「S208」の価格は626.4万円、ベースのWRX STIが386.6万円なので、ベース車両の1.62倍の価格が付いていたことになります。

今作「S210」はどんな車か?

2017年に「S208」が出て以来、8年ぶりに日本国内で発売されるコンプリートカー「S210」はどんな車なのでしょうか?まずは、STIの開発担当者による「S210」の説明を見ていきましょう。

「今回私たちは、SUBARUのAWDスポーツモデルWRX S4 STI Sport R EXをベースに、エンジン、トランスミッション、足回り、車体をトータルでチューニング。そのクルマに、コンプリートカーの最高峰モデルとして「S」の名を冠した。単にパフォーマンスを上げただけではない。そのパフォーマンスを誰もが、何処でも意のままに操ることができる究極のコンプリートカー。それが、この「S210」である。STIの持てる技術のすべてを織り込んだ、ニュルブルクリンク24時間レースカー直系の走りを、心ゆくまで愉しんでいただきたい。」

 

では、ベースとなるWRX S4 STI Sport R EXと比べて、どう変わっているのか?

○エンジン

WRX S4 STI Sport R EXFA24型水平対向4気筒 2.4L DOHC 16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ “DIT”)

→ 最高出力202KW(275PS)/5600rpm 最大トルク375Nm(38.2kg)/2000-4800rpm

S210FA24型水平対向4気筒 2.4L DOHC 16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ “DIT”

→ 最高出力221KW(300PS)/5700rpm 最大トルク375Nm(38.2kg)/2000-5600rpm

 

エンジン形式は同じですが、吸排気系やECUチューニングにより、最高出力が25PS上がり、最大トルクはそのままですが発生回転領域が広くなっていますので、高回転に持っていっても扱いやすく、吹き上がりも向上していると推察できます。

 

○足回り・ブレーキ

・専用電子制御ダンパー(ZF製)&コイルスプリング

・STI製リヤスタビライザーブッシュ

・brembo製フロント・モノブロック対向6ポットブレーキキャリパー(レッド塗装、STIロゴ入り)&brembo製18インチドリルドディスクローター(ベース車はフロント2ポッドベンチレーテッドディスクブレーキ)

 

ブレーキはさすがに強化してますね。電動ブレーキブースターの制御にも手を入れ、ドライバーの踏み込み・踏み戻しに対するペダル反力を適正化したとのことで、これは嬉しいですね。しっかり踏み込んでしっかり効くブレーキはスポーツカーには必須だと思います。しっかりブッシュも強化してますし、この辺りはさすがにSTIが手がけたコンプリートカーですね。

 

○外装・空力

・STI フロントアンダースポイラー、リヤアンダーディフューザー

・ドライカーボンリヤスポイラー

・STIスポーツサイドガーニッシュ(片側で10mmの拡幅が行われた専用品)

 

○内装

・STI製RECAROバケットタイプフロントシート(運転席・助手席とも電動調整・シートヒーター付)

 

以上、ベースモデルとの違いについて、主なものを挙げてみました。

これまでの「S○○○(3桁数字)」コンプリートモデルと違う点

WRX S4 S210 フロントスタイル

実はこの「S210」がこれまでのSモデルに無かった、興味深い2点をご紹介します。意外とこの2つの点を気にする方もいらっしゃるかもしれません。

・3ペダルMTではないこと

これまでの「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルは、すべてトランスミッションに3ペダルMTが採用されていました。もちろんそれは、ベースモデルが3ペダルMTであったこともありますが、今回のベース車両のWRX S4 STI Sport R EXもS210もスバルパフォーマンストランスミッション(マニュアルモード付)というスバルが開発した高性能CVT(無段変速機)が採用されています。

このスバルが開発した高性能CVTは、特徴として、通常のCVTのような無段変速だけでなく、マニュアルモード時には8段のステップ変速(擬似的なギア段)を実現し、パドルシフトによるダイレクトな操作感も楽しめますし、スポーツ変速制御や自動ブリッピング機能などにより、CVTでありながらDCT(デュアルクラッチトランスミッション)やトルコンATに近いスポーティなフィールを持っている優れものなので、性能的には問題と思いますが、「3ペダルMTのフィーリングが好き」「自分で車を操っている感覚が好き」という方にとっては、少し懸念材料になるのかもしれません。

 

電子制御式ダンパーの採用

S210では、ベース車両のWRX S4 STI Sport R EXと同様に、電子制御ダンパー(ZF製)&コイルスプリングが採用されています。これも上記のCVT(無段変速機)とともに、「S○○○(3桁数字)」のコンプリートモデルとして初採用になります。

スバルによれば、このZF製電子制御ダンパーは「荒れた路面やコーナリングなどの走行状況に合わせてダンパーの動きを個別に制御することで、車体姿勢を常に安定させます。ドライブモードセレクトを使えば、減衰力の特性を選ぶこともできます」とのこと。

ただ、スバルのサイトや参考になる記事を見ると、S210に用意されているドライブモードセレクトは3種類

モード名特徴・目的
ノーマルさまざまな走行状況にバランス良く対応する、最もベーシックなセッティング
スポーツ

伸び側の減衰力を下げ、縮み側の減衰力を上げることで、ボディの動きを抑制し、よりスポーティな走りを実現。AWD制御も回頭性重視の専用チューニングが施される。

コンフォートしなやかな乗り心地を重視、日常使いでも快適なドライブが可能

 

それに対し、ベース車両のWRX S4 STI Sport R EXのドライブモードセレクトは4種類+1

モード名特徴・用途
コンフォート乗り心地を最優先し、路面の凹凸をしなやかに吸収。長距離移動や市街地走行に最適
ノーマル日常走行に適したバランス重視の設定。快適性と操縦安定性を両立
スポーツダンパーの減衰力を高め、よりスポーティな走りを実現。ワインディングや高速道路での走行に向く
スポーツ+さらにダンパーが引き締まり、ハンドリング性能を最大限に発揮。サーキットやアグレッシブな走行に最適
インディビデュアル各項目を自分好みにカスタマイズ可能

S210のモデルの性格からして、敢えて「電子制御ダンパーは要らない」という方もおられるでしょうし、もし「どうしてもS210を採用したい」というメーカーの意向があるのなら、スポーツ+モードまであるWRX S4 STI Sport R EXのモードをそのまま持ってきても良かったのでは?と思ったりします。

ただ、逆に3つだけのモードにして特性をそれぞれに最適化した、ということであればそれもアリかな?とも。こればっかりは、乗って体感してみないとなんとも言えないのですけどね。

「S210」の抽選に申し込む価値はあるか?

WRX S4 S210 リヤ走行イメージ

そんな、スバルS210ですが、遂に抽選エントリーが始まりました。

 

エントリー期間は、6月29日(日)までとなっています。

某スバルディーラーの情報によれば、抽選結果は7月10日(木)に出るとのことで、気になっている方は、まずエントリーして結果待ちするのでしょうね。

さて、このS210、価格を見ると

車両本体価格8,700,000円(税込)

 

国内販売された先代のS208が6,264,000円でしたから、実に2,436,000円高くなっています。

某、スバルディーラーのサイトに試算が紹介されてました。

スゴイですね。スバル車も1,000万円を超える時代が来た、ということですかね。まあここ数年の原材料費高騰の影響や、人件費高騰の影響もありますし、そもそもベース車両のWRX S4 STI Sport R EXも車両本体価格は5,027,000円 (税込)なので、すでにベース車両からお高くなっているので仕方ないですね。

では、ここまでの金額を出す覚悟をして抽選に申し込む価値のある車か?を考えてみましょう。

まず、ベース車両からして完成されたスバルのWRX S4を、よりスパルタンでありながら、日常使いでも破綻させない車作りを実現しているのは評価が高いと思います。電子制御ダンパーや、8Wayの電動調節機能付きで尚且つシートヒーター付きのバケットシートは、単にガチガチのサーキットモデルではない、という意図が見えますよね。

トランスミッションにCVTが使用されていること、電子制御ダンパーによる運転感覚が購入前に分からないこと、エンジン出力は、2.4リッターターボなら、せめてS208の329PSを超えて欲しかった、等々の懸念点はありますが、いくつかの専用パーツも、S○○○(3桁数字)のコンプリートモデルに相応しいものだと言えますし、コンセプトに賛同できるのであれば、抽選に申し込む価値はあるのだと私は考えます。

S○○○(3桁数字)のコンプリートモデルは、本当の意味での先代S209が日本に導入されず、S208以来8年ぶりの登場ですから、これからも注目していきたいと思います。



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  • この記事を書いた人

まっすー

神奈川県在住の50代、無類の車好き。サラリーマン時代に購入した愛車のポルシェを水没させてしまうが見事に復活させた経験あり。2台目のポルシェと現在の愛車ゴルフⅦは中古で購入。これまで乗ってきた車、試乗した車を基に今ならこんな中古車を狙いたい!を発信します。

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