「かっとび」「韋駄天」というキャッチフレーズで思い出されるのがトヨタ「スターレット」です。
かつては小型軽量、小排気量で安価だけどスポーツ性が高くキビキビ走る所謂「ボーイズレーサー」の代表格のような車ですが、このスターレット、1999年に販売が終了となりました。ですから、このスターレットに「実際乗っていた」あるいは「よく知っている」という方も、もしかしたら50歳以上が中心なのかもしれません。
そのスターレットが、近い将来復活する、という情報が自動車雑誌や自動車専門サイトに掲載され、注目を集めるようになりました。今日の記事では、もしスターレットが復活するとしたら、どんな車になるのか?「かっとび」「韋駄天」と言われていたスポーツグレードの特性を引き継ぎ、GRのグレードとして設定されることがあるのか?価格帯はどうなるか?トヨタの中でどんな立ち位置の車になるのか?を考察した記事にしていきます。
かつての「トヨタ・スターレット」とはどんな車だったのか?
トヨタ・スターレットとはどんな車だったのか?
生まれは古く、1973年元々は大衆車「パブリカ」の上級派生車として開発され、「小さな星」という意味の車名が与えられました。コンパクトなボディと手頃な価格、小回りの良さが特徴で、初めて車を購入する人や女性にも人気を集めました。実際、私の友人も若い頃このスターレットを購入し、私も乗せてもらったのですが、小さいボディで小さい排気量ですが、本当にキビキビ走る楽しい車でした。
3代目(1984年~1989年)では1.3Lの直列4気筒ガソリンエンジンがメインで、後にターボモデルを追加。4代目(1989年~1996年)ではインタークーラー付きターボが設定され、シチュエーションによってはクラスが上のレビン/トレノ1600GTやカローラFX1600GTを凌駕する実力を備えた車で、ワンメイクレースでも活躍した名車です。
ただ、トヨタは1999年に新しくヴィッツを登場させ、エンジンバリエーションの追加により、スターレットは1973年から続いた26年の歴史に幕を下ろしたのです。
新型スターレットはどんな車になるのか?
新型スターレットは、2026年に国内で約27年ぶりに復活する可能性が高い、とされています。トヨタのラインアップの中では、ヤリスよりも下のエントリーカーとして登場してくるとされています。以前は、この位置にパッソ/ブーン(ブーンはダイハツ車)というエントリーカーがありました。
パッソ/ブーンという車は?
パッソ/ブーンは2004年にトヨタとダイハツが共同開発したコンパクトカーで、パッソはトヨタが販売し、ブーンはダイハツが販売を担当していました。トヨタの国内ラインナップで最も小さい普通乗用車として位置づけられ、取り回しの良い5ドアハッチバックボディながら広い室内空間と経済性、快適な走行性能を両立させたモデルです。
特徴としては、全長3600mm台、全幅1665mmとコンパクトながら居住性を確保し、1.0Lの直列3気筒ガソリンエンジンを搭載。軽自動車並みの低燃費性能を持ち、女性や初めての車としてユーザーに好評でした。
販売開始直後から人気を博し、ピーク時には年間9万台を超える販売実績もありましたが、トヨタの効率的な生産・販売体制へのシフト、OEM供給元であるダイハツ・ブーンの生産終了、モデル間のキャラクター重複、販売台数の推移などが重なりパッソは2023年9月下旬をもって生産・販売終了となりました。
新型スターレットの予想スペックは?
まず予想される車体サイズですが、全長約3680mm、全幅1665mm、全高1520mm程度、ちなみに3代目パッソの車体サイズが、全長3650~3680mm、全幅1665mm、全高1525mmですので、ほぼパッソのサイズで出てくるようです。
ちなみにヤリスのボディサイズを見てみましょう。全長3950mm、全幅1695mm、全高1495mmと、全高は低く抑えられていますが、全長・全幅で新型スターレットの予想スペックより若干大きいサイズですね。
エンジンは現在ヤリスにも採用されている1.0L直3ガソリンエンジンにモーターを追加したハイブリッドになりそうです。ヤリスに搭載されているのはハイブリッド化されていない1.0L直3ガソリンエンジンですが、もし新型スターレットが登場して、このエンジンがハイブリッド化されたら、ヤリスも同様にハイブリッド化するのでしょうね。
期待されるGRグレードはどんな車になりそうなのか?
1980年代から1990年代に発売されていた、3代目や4代目のスターレットには、ターボモデルがあり「韋駄天ターボ」や「辛口ターボ」という看板に偽りなしの速さを見せていました。もしスターレットが出てきたら、まず間違いなくスポーツモデルが設定されるでしょう。もちろんその名も「GRスターレット」です。
現在噂されているGRスターレットの予想スペックについてまとめてみました。
GRスターレットの予想スペック
項目 | 予想スペック |
---|---|
エンジン | 1.3L直3ターボ |
最高出力 | 150ps |
最大トルク | 22.5kgm(約220Nm) |
トランスミッション | 6速MT(CVTも一部設定か) |
駆動方式 | FF |
全長×全幅×全高 | 3850×1725×1475mm |
ホイールベース | 2450mm |
車両重量 | 約980kg(1トン切り目標) |
プラットフォーム | GA-B |
価格 | 250万~280万円 |
発売時期 | 2026年 |
本当にこのスペックでGRスターレットが出てきたら「トヨタあっぱれ!」と言いたいですね。1.3Lターボで150psを絞り出すのはかなりのハイチューンですから難しいと思いますし、1トン切る車重で出てきたら、運動性能もかなり期待できると思います。
トランスミッションは、6速MTになりそうですが、これはぜひ実現して欲しいですね。ただ、無理かもしれませんが、ATモデルを出すのであれば。CVTをではなく、GRヤリスに搭載されている8速ATを流用できると面白そう。でもこれはオーバークオリティーかもしれませんし、価格も上がってしまうでしょうから現実的ではないでしょう。
さて、GRスターレットがこの内容で出てくるとしたら、ライバルになりそうなのが
スズキ スイフトスポーツですね。
スイフトスポーツとのライバル関係は?
当ブログでも、スイフトスポーツについては、記事にしましたが、現在ZC33Sファイナルエディションを発売中(ただし、もう完売の可能性あり)で、現行スイフトのスポーツが出てくるという確定情報はありません。
ただ、本当にスターレットが登場して、GRの情報も出るようであれば、ライバルとしても、このBセグメントホットハッチの市場を盛り上げるためにも、スイフトスポーツが登場してくる可能性は高いでしょう。いずれにしてもGRスターレットが登場するか?しないか?で大きく変わると思われます。
ちなみに、現在噂として出ているGRスターレットと次期スイフトスポーツを比較してみました。
次期スイフトスポーツ | GRスターレット | |
---|---|---|
エンジン | 1.4L直4ターボ+48Vマイルドハイブリッド | 1.3L直3ターボ |
最高出力 | 140ps | 150ps |
最大トルク | 235Nm | 22.5kgm(約220Nm) |
トランスミッション | 6速MT/6速AT | 6速MT(CVTも一部設定か) |
駆動方式 | FF | FF |
予想価格 | 約250万円~ | 約250万円~ |
予想登場時期 | 2026年 | 2026年 |
車重も両車ともそれほど変わらないでしょうし、良いライバルになりそうですね。ここにホンダや三菱が同様のBセグメントホットハッチを出してきたら、この市場が益々活気づくと思いますので、期待したいところです。
果たして本当に新型スターレットの登場はあるのか?
ここまで、現在噂されている新型スターレットについてまとめてみました。ただまだトヨタからの正式な発表は無く、あくまで予想の域を超えません。果たして本当に登場してくるのでしょうか?新型スターレット登場についての懸念を考えてみました。
ヤリスの下位にグレード追加して売れるのか?
さて、新型スターレットが登場するとしたら、かつてのパッソ/ブーンの位置づけ、つまりヤリスよりも小さなエントリーモデルとして登場することになるでしょうけど、果たして本当にトヨタはヤリスの下位に車種を設定するつもりはあるのでしょうか?
今や、ヤリスはヤリスクロス等シリーズ全体で2023年に19万4千台、2024年に16万6千台を売り上げるトヨタの人気車種です。またヤリスの一つ上の車種にアクアがあり、こちらも2023年に8万台、2024年に6万4千台を売り上げ、アクアに関しては2025年8月にビッグマイナーチェンジが実施される予定で、トヨタのラインアップの中でコンパクトハッチバックについては、割と充実していると感じます。
そんな状況の中、敢えてヤリスよりも下位の車種としてスターレットを登場させるのでしょうか?GRについては、明らかにGRヤリスとは性格が違い棲み分けが出来るので、GRスターレットは存在価値はあるのでしょうけど、GRを出すには、ベースグレードの存在が必要、そのベースグレードを出す価値をトヨタが感じているか?が鍵になるのだと思います。
トヨタは車種整理しているのに、わざわざスターレットを出す?
トヨタは、ここ数年で国内販売車種の整理・統合を進めています。かつては国内で60車種以上のモデルを展開していましたが、販売網の効率化と重複モデルの統合を進め、グローバルモデルへの集約を行うなど、グローバル戦略の強化や開発・生産リソースの最適化を目指しています。
また、多くの車種で現在受注停止や長期の納車待ちとなっているのもトヨタとしては頭の痛いところでしょう。特にクロスオーバーSUVについてはかなりの車種で受注停止になっているようで、新車を出しても販売店は売ることができない、って事態に陥っているようです。こんな状況の中で、自車のヤリスとも競合しそうなスターレットを出してくるのか?という懸念はありますね。
ちなみに、現在のトヨタ車の工場出荷時期・納車時期の目安は下記サイトで見ることができます。
まとめ:新型スターレットの登場について
今日の記事では、トヨタ新型スターレットは登場するのか?GRバージョンはどんなスペックで出てくるのか?について懸念点も含めた内容としました。まとめてみます。
・新型スターレットは、かつてのパッソ/ブーンの後継、ヤリスの下位のエントリーモデルとして登場するだろう
・標準グレードは、1.0L直3ガソリンエンジンのハイブリッドが搭載されるだろう
・GRスターレットは、1.3L直3ターボを搭載。かつての「韋駄天ターボ」を彷彿とするスポーツモデルとして復活
・GRスターレットは、次期スイフトスポーツとも良いライバル関係になり、Bセグメントホットハッチ市場が活性化される可能性もあるだろう
・ただし、ヤリスの売り上げが好調であり、スターレットをわざわざ出してくることについては懐疑的な面もある。また近年のトヨタの車種整理を考えると、本当にスターレットを再登場させる気はあるのか?懸念はある
現在出ている情報を整理して、私の考えを含めるとこんな状況だと思います。ですが、トヨタとしては独自で軽自動車を持たない(「コペンGR SPORT」や「ピクシス エポック」はダイハツからOEM供給)中、ヤリスよりも小さいモデルに1.0Lハイブリッドシステムを始め、先進の技術を搭載し、比較的安価な価格設定の車種を出せるのなら、登場させる意味はあるのかもしれません。
標準グレードさえ出すことが決まれば、トヨタお得意のGRバージョンとしてGRスターレットを出すことは、確定事項になるでしょうし、これまでのGRモデルはヤリス・カローラ・86等を見ても力作揃いですので、GRスターレットも日本における久々のBセグメントホットハッチの名車になるような内容の車として登場してくるでしょうから期待したいですね。
そんな新型スターレットですが、登場するとしたら2026年。これから少しずつ情報も出てくるでしょう。その情報を楽しみにしながら登場を待つことにしたいと思います。