5月23日(金)にトヨタのカローラクロスのマイナーチェンジ版が発表されました。
トヨタ カローラクロスは、カローラシリーズ初のSUVモデルで車格ではRAV4とC-HRの中間に位置する車で、初代モデルはまず海外で2020年7月に、国内では2021年9月に販売開始、今回大幅なマイナーチェンジが行われています。
近年、クロスオーバーSUVが流行っていますが、カローラクロスは比較的使いやすい大きさで、実用性の良さも兼ね備えている車、今回のビッグマイナーチェンジで新たに「GR SPORT」のグレードも加わり、内外装の一新もあり、より魅力的な車として登場してきました。
そこで、本記事では、カローラクロスのグレード構成から、グレードごとの違いを徹底解説し、用途やライフスタイルに合ったモデル選びをお手伝いします。
カローラクロスには、上記の「GR SPORT」の他に「Z」「S」「G」といった複数のグレードがあり、それぞれ異なる特徴と、そのグレードならではの良さがあります。また、価格帯とグレード順についても触れていきますので、どれが自分に合っているのかを確認していきましょう。
これからカローラクロスを購入する方や、グレードの違いを知りたい方は、ぜひ最後まで読んで、自分にぴったりのカローラクロスを見つけてくださいね。
カローラクロスのグレードの種類と特徴
今回チェンジとなったカローラクロスは、「GR SPORT」「Z」「S」「G」の4つのグレードに分類されます。それぞれのグレードに異なる特徴があり、スポーティーな走行性能を意識したものや、快適性・ラグジュアリー性を重視したもの、実用性・経済性を重視したものが用意されています。
また、「GR SPORT」はE-Fourという4WDシステムのみの採用ですが、「Z」「S」「G」の各グレードには、E-Fourと2WD(FF)が用意されており、ユーザーの用途に合わせた選択ができるようになっています。
まず、最もベーシックな「G」グレードは、カローラクロスのエントリーモデルとして位置づけられ、装備はシンプルですがハイブリッドシステムは上級グレードの「Z」や「S」グレードと同じですし、サスペンション形式も同じですので、コストパフォーマンス重視の方にはおすすめのグレードになるでしょう。
次に「S」グレードは、標準仕様のモデルで、内外装が「G」グレードよりも充実したバランスのとれたグレードです。特に「G」グレードでは設定の無いパノラマルーフをオプション装着できること、アルミホイールが装着されること(「G」グレードはスチールホイール)、後席エアコン吹き出し口がこの「S」グレードから上のグレードに付くこと等、ドライバーだけでなく同乗者の満足度も上げてくれるグレードとなっています。
「Z」グレードは、カローラクロスの中でもラグジュアリー性を追求したグレードとなっています。「S」グレードとの差は、まずBi-Beam LEDヘッドランプという先進的なヘッドライトシステムが装着されること、シート表皮が本革+パーフォレーションの素材となって、シートヒーターとシートベンチレーションが標準装備されランバーサポートも付くこと、ハンズフリーパワーバックドア(スマートキーを携帯している状態でリヤバンパー下に足を出し入れするだけで、バックドア(リアゲート)が自動で開閉する機能)、が装着されているところです。
「Z」グレードは、移動の空間もできるだけ快適に、という方に向けた仕様になっていますね。
最後に「GR SPORT」です。カローラクロスのグレードでありながら、このGR SPORTだけは他のグレードとは違う位置づけになっており、トヨタのサイトに「走りと機能美にこだわったスポーティモデル」とあるように、専用のエンジン・モーター、専用のサスペンション、専用のエクステリアとインテリアを持ったグレード、19インチのアルミホイールを装備し、見た目も実際の走りもスポーツを意識したグレードだということが分かります。
以上がカローラクロスに用意されたグレードになりますが、割とはっきりしたグレードの違いがあると思います。これらの違いを理解した上で、ユーザーは自分の求める走行性能や装備を考慮しながら、適切なグレードを選ぶことが大切です。
走り重視なら迷わず「GR SPORT」
カローラクロスという、クロスオーバーSUVにおいても走りの良さを求めたいのなら、迷わず「GR SPORT」のグレードを選ぶべきでしょう。走りの性能だけでなく、内外装の雰囲気も他のグレードとは違って専用のものが奢られています。
まずエンジン・モーターを含めたハイブリッドシステムの差を見てみましょう。
<エンジン>
GR SPORT:2リッターエンジン(152ps/6,000r.p.m 19.2kg/4,400〜5,200r.p.m)
他グレード:1.8リッターエンジン(98ps//5,200r.p.m 14.5kg/3,600r.p.m)
<モーター>
GR SPORT:フロント(113ps/21.0kg)リヤ(41ps/8.6kg)
他グレード:フロント(95ps/18.9kg)リヤ(41ps/8.6kg)
<システム最高出力・燃費(WLTCモード)>
GR SPORT:199ps 23.3km/L
他グレード:140ps 24.6km/L(E-Four)
というように、エンジンの動力性能の差がかなり大きいですね。またフロントモーターは主に車両の発進や加速時に駆動力を発揮し、エンジンと協調して前輪を駆動する働きを持つので、フロントモーターの性能が大きいのもGR SPORTの動力性能に寄与していると思います。
それでいて、車重はE-Four(4WD)同士で見ると、GR SPORTが1,500kg、「Z」グレードが1,490kg、「S」「G」グレードが1,470kgと差は僅かなので、ハイブリッドシステムの動力性能差はそのまま体感できるかと思います。
ハイブリッドシステム以外にもGR SPORT専用のマクファーソンストラット式フロントサスペンション&ダブルウィッシュボーン式リヤサスペンションは、乗り心地の良さと優れた操舵応答性・操縦安定性を実現するものになっていますし、車体下部の剛性アップパーツによりハードな走行にも耐えられるものになっています。
スポーティーな走りを更に盛り上げてくれる内外装についてもGR SPORTの魅力ですね。
この専用フロントバンパーだったり
サポート性能の良い専用シートも、スポーティーな走りを助けてくれます。
GR SPORTのグレードは、ラグジュアリーな乗り心地よりも、ドライビングの楽しさを優先したい人に最適です。クロスオーバーSUVであっても、スポーティな外観と走行性能を備えながら、快適性も維持されたグレード求めるユーザーにおすすめです。
エントリーモデルの「G」でも必要充分な装備を備える
次に、カローラクロスのエントリーモデルである「G」グレードを見てみましょう。
「G」グレードの一番の魅力は、何と言っても価格です。2WD(FF)モデルを選べば2,760,000円という価格、この価格でこの車格のハイブリッドクロスオーバーSUVが買える、ということを考えると、大変お値打ちなグレードだと思います。
もちろん他グレードのような豪華装備は省かれており、ホイールは17インチのスチールですし、内外装の質感は他グレードとは違い、好みが分かれるところですが、先に挙げたハイブリッドシステムやサスペンションについては「Z」「S」と同じですし、「プリクラッシュセーフティ」を始め必要な予防安全システムも標準装備されています。
内装はファブリックで、後席アームレストや後席USB・エアコン吹き出し口も付きませんが、主に後席に座るのが小さな子どもなら、逆にこの仕様のほうが良かったりしますよね。ただ、パノラマルーフがオプションでも設定されないところは、ちょっとマイナスポイントになるのかもしれません。
この「G」グレード、特に若い家族でまだ子どもが小さく、車内を汚すことも考えられるので、内装に豪華さは必要としない。豪華さよりも経済性と安全性は重視したい、という方にオススメです。
「Z」と「S」はどう違う?
カローラクロスのグレードでは、「GR SPORT」はちょっと特別なグレードとして位置づけられますが、実質的な上級グレードの「Z」と中間グレードの「S」ではどう違うのか?比較してみましょう。
項目 | S | Z |
---|---|---|
価格(2WD) | 298万円 | 343万円 |
ホイール | 17インチアルミ | 18インチアルミ(ダークグレー塗装) |
ヘッドランプ | LEDバイビーム | 全LED仕様+デイライト・シーケンシャルウインカー |
フォグランプ | オプション(2.2万円) | 標準装備 |
リアランプ | LEDテールストップ・ターンランプ | LEDライン発光テール&ストップ&ターンランプ |
インパネディスプレイ | 7インチ | 12.3インチ |
シート表皮 | ファブリック | 本革+ファブリック |
運転席シート | 6wayマニュアル | 8wayパワーシート+電動ランバーサポート |
シートヒーター | なし | 運転席・助手席標準装備 |
ハンズフリーパワーバックドア | なし | 標準装備 |
シグナルロードプロジェクション | なし | 標準装備(ウインカー連動路面矢印照射) |
ドライブレコーダー | 前方のみ | 前後(バックガイド連動) |
パノラマサンルーフ | オプション | オプション |
やはり上級グレードの「Z」の装備は、内外装や安全装備等で充実してますね。シートヒーターやここには掲示してませんがシートベンチレーションが標準装備なのは「Z」の魅力なのかもしれません。また、車を使う際に荷物を多く積む方にとってはハンズフリーバックドアが便利で欲しい装備なのではないでしょうか。
あとはホイール、ランプ類、シートの違い等が「Z」と「S」の違いになっています。ただ、注目すべきはこの2台の価格差ですね。「Z」の2WD(FF)が3,430,000円、「S」の2WD(FF)が2,980,000円と価格差45万円あります。「G」と「S」の価格差22万円と比べて差がありますね。この価格差と内外装の差をどう考えるか?自分の使い方でどこまで必要になるのか?がこの2グレードの選び方となっていくと考えています。
では「Z」グレードと「S」グレード、どう選んでいけば良いのか?
快適・先進・安全装備がほぼフル装備で、内外装の質感も高く、シートヒーターやパワーシート、ハンズフリーパワーバックドアなど、上級SUVらしい装備が揃っていて、装備の充実度、高級感を重視したいなら「Z」グレード
「G」グレードよりは装備が欲しいしアルミホイールも履きたいしオプションでもサンルーフは欲しい、必要な快適装備はしっかり押さえつつも、ある程度価格は抑えたいという方は「S」グレードという分け方になるでしょう。
E-Four(4WD)は選ぶべきか?
カローラクロスには、「GR SPORT」を除いて「Z」「S」「G」各グレードに2WD(FF)と4WD(E-Four)が用意されています(「GR SPORT」はE-Fourのみ)。グレードの選択も迷うところですが、上記3グレードのすべてに2WD(FF)と4WD(E-Four)の両方が設定されているので、この駆動方式の選択も迷われるのではないかと思います。
ここでカローラクロスの4WD(E-Four)はどんなシステムなのか?を見てみましょう。
4WDといってもこのE-Fourの場合は、常時4WDというわけではありません。通常走行時は前輪駆動(FF)ですが、発進時や雪道・滑りやすい路面など必要な場面で自動的に4WDに切り替わり、走行安定性と発進性を高めるシステムで、4WDに切り替わったときにリアモーターが後輪を駆動させる、という仕掛けになっています。
ですから、通常の2WD(FF)走行時は、リアモーターは基本的に駆動力を発生せず待機状態となっています。その際はエンジンとフロントモーターで走っているわけで、リアモーターはエネルギー消費を抑えるため動作しないのです。
雪道等路面が滑りやすい場合は、E-Fourの効力は絶大でしょう。「雪の降らない地域に住んでいるから、E-Fourは必要無いでしょ」と考えられる方もおられると思いますが、現行のE-Fourは晴天時路面の状況の良い所を走る場合でも、発進時、急加速時、登坂時等で4WDに切り替わる設定になっています。
実際、現行のE-Fourを搭載した車両を走らせたリポートでも「高速走行中でも必要に応じて4WDに切り替わる」「雨の高速道路や上り坂、急加速時などで後輪駆動が発動する」ということがあるようですので、雪道以外でも恩恵はかなりありますね。また、マルチインフォメーションディスプレイ内に前後輪トルク配分量が表示されるようなシステムになっていますので、4WDへの切り替えも実感できるようになっています。
さて、E-Fourを選ぶべきか?を考えるうえで、実は4WDのシステム以上に重要なことがあります。
それは、E-Fourを選ぶと、リアサスペンションがトーションビーム式ではなくダブルウィッシュボーン式に変わることにあります。
こちらがトーションビーム式リアサスペンション
こちらが、ダブルウィッシュボーン式リアサスペンション
ひと目で分かるのが、ダブルウィッシュボーンのしっかりした造りですね。カローラクロスのようにある程度車重があって、しかも車高も高い車で、たまに高速道路を使った長距離運転もする、ということであれば、安全度や乗り心地をとってダブルウィッシュボーン式リアサスペンションが採用されるE-Fourを推したいと思います。
「4WDは燃費が・・・」と仰る方もおられますが、公表されているWLTCモードの燃費を見ると
2WD(FF):26.4km/L
4WD(E-Four):24.6km/L
と1.8kmの差となっています。この差であっても「燃費が良いほうが」とお思いなら2WDを「この差なら」とお思いなら4WDを選んでも良いかもしれません。
最終的にオススメグレードは何?
さて、ここまでカローラクロスの「GR SPORT」「Z」「S」「G」の4つのグレードについてご紹介してきました。それぞれのグレードに魅力があり、装備差など上手く設定しているな、というのが感想ですが、ここで私のオススメをお話します。
ズバリオススメは
「S」グレードのE-Fourです。
お金に糸目を付けない、スポーティーな内外装でスポーティーな運転を楽しみたい、というのなら「GR SPORT」一択ですが、この車のユーザーの多くは、家族持ちであったり、ご夫婦で移動を楽しみたい、という方が多いのだろうと考えています。
「Z」シリーズも良いのですが、「S」シリーズとの価格差やクロスオーバーSUVの車としての性格や想定されるユーザー層を考えると、そこまで「Z」の装備に必要性を感じなかったので、グレードは「S」にしました。とことん経済性に拘りたいのなら「G」も良いのですが、アルミホイールが付くこととパノラマルーフの選択ができる点で「S」に軍配が上がりました。
駆動方式は、それほど燃費の差が無いこと、リアサスペンションが変わることを考慮に入れ、E-Fourを選択しました。これは意見が分かれるところだと思いますが、昨今日本各地でゲリラ豪雨や扇状降水帯による大雨が増えているなど、自然災害が多く発生しています。気休め程度かもしれませんが、E-Fourの能力は運転の助けになってくれるということも選んだ理由です。
いかがでしたでしょうか?今回のカローラクロスのマイナーチェンジは、すべてのグレードがハイブリッドシステムに変わり、トヨタとしても電動化対策をどんどん進めていることが分かるモデルチェンジとなりました。グレードに「GR SPORT」を加えたことで、商品価値が上がり、その他のグレードも上手く装備を変えて、どのグレードも選びやすいものになっています。
すでにディーラーに展示車や試乗車が用意されていると思いますので、ぜひ比較して見て、乗って、グレードを決めていただければと思います。あと雨天時にE-Fourを試乗して、どんな状況で4WDに変わるのか?もぜひ体感していただくことをお勧めします。